第5節マッチレポート
BL東京に敗戦。
「こういう時こそ信じ続けることに意味がある」(福田)
1月22日、トヨタヴェルブリッツはリーグワン第5節で東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)と東京・秩父宮ラグビー場で対戦。25-63で敗れ、通算成績が1勝4敗となった。
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前節の埼玉戦でつかんだと思った光は、また薄くなった。
立ち上がりは悪くなかった。開始4分、HL付近でペナルティをもらうとSH福田健太が素早く仕掛ける。FBウィリー・ルルーが繋いで再び福田へ。タイミングを見計らってパスを繋ぎ、Flピーター・ステフデュトイからオフロードで球をもらったWTB髙橋汰地がトライ。5-0と先制した。
「先にとられて、今日は難しい試合になると思った」(BL東京・SH小川高廣主将)
だが、その時間帯を続けることは難しかった。次第にBL東京の接点での勢いが出始める。1PGを許した後の11分、BL東京はラインアウトからFWでゴール前へ。最後はCTBセタ・タマニヴァルにねじ込まれた。互いにPGを決め合い8-13となった23分にはラインアウトから大外に展開され、WTBジョネ・ナイカブラがタックルを二人振り切ってトライ。コンバージョンも成功し、8-20に。その4分後にはラインアウトモールを15㍍近く押されてトライを許し、8-25と差が開いた。
29分にはWTB髙橋が自らのキックをキャッチしてトライして差を詰めたが、38分には再びCTBタマニバルにインゴールを明け渡す。前半は18-32での折り返しとなった。
この日、試合を捌いたのは世界のトップレフリーであるニック・ベリー氏(豪州)。トヨタは前半からタックルした状況で展退しないノットロールアウエーの反則を繰り返し取られ、攻撃のリズムを作れなかった。
後半16分にはSH福田がチームとしての反則の繰り返しでシンビンに。「レフリーは早くボールを動かしたかったのに、僕がタックラーとしての役割を果たせなかった」(福田)
一方、BL東京は「マット・トッド(FL)は、レフリーに注意されてすぐに手を離した。選手たちはレフリーに言われたことを我慢強く実行できた」とトッド・ブラックアダーHC。
レフリングへの適応も相手の方が滑らかだった。後半20分過ぎからは4連続トライを奪われ18-63まで差は開いた。試合終了のホーンが鳴った後、WTB髙橋がインターセプトから3トライ目を奪ったが、最終スコアは25-63。2004年度にトップリーグに昇格して以来、BL東京(前・東芝ブレイブルーパス)に最多失点を喫した。
これまで激しいフィジカル勝負を繰り広げた好敵手に接点、スクラム、モールで後れをとった。加えてミスタックルも頻発。前半のミスタックルはBL東京の8に対し、トヨタは25だった。
会見でベン・へリングHCは、「大きく失望している。練習でやってきたことが出なかった」と落胆を隠さなかった。前節で昨年度王者・埼玉と激闘を繰り広げた疲労もあったが、チームの出来不出来の幅について、ゲームキャプテンを務めたデュトイはこう指摘した。
「ラグビーはフィジカルなスポーツで、メンタルが試合に影響する。波のないチームはメンタルが強い。我々は自分たちが思うようにいかなかったときの適応力が必要」
敵将のブラックアダーHCは自チームについて「簡単にトライを許さないのは、マインドセットの部分」と述べていた。
象徴的なシーンがあった。後半30分、18-54と差が開いた場面。相手キックをチャージし、ボールがすっぽり胸に入ったLOマイケル・アラダイスが抜けて相手ゴール前に迫る。だがフォローが遅れ、トライにはつながらず。素早く戻ったのは赤いジャージーの側だった。
救いはチームの全トライを挙げたWTB髙橋の存在だ。今季は、第2節の相模原DB戦で挙げた1トライにとどまっていた。
「これまでいい状態でボールがもらえず、フラストレーションがたまる試合が続いた」。この日は積極的にアタックに参加し、トライゲッターとして輝きを放った。その髙橋も「チームは1週間を通していい準備ができているのに、一番大事な今日という日に繋がってない」と、首をひねる。
試合では、デュトイとルルーが二人で局面を打開しようとする場面も見られた。それは他の選手にまかせていられない焦りの表れでもある。
「日本人と外国人で意見をぶつけあえてない。外国人選手が決めたことを素直にやってしまう。試合中でも意見をぶつけて、もっとこうしたいと伝えていければ」(髙橋)
心の中で感じている原因と解決方法は、みな同じはずだ。
「こういう時こそ、信じ続けることに意味がある。皆が一つの電車に乗ってると思って、一本の線に乗り続けられるように、しっかりドライブしていきたい」(福田)
第5節でカンファレンスAの5チームと1回目の対戦が終了。次節からカンファレンスBとの交流戦6試合が始まる。初戦は中5日のビジターゲーム、コベルコ神戸スティーラーズと対戦する。この日の敗戦から何を学び取れたか、ヴェルブリッツの真価が問われる一戦となる。
(写真説明)
①初めてゲームキャプテンを務めたFLピーター・ステフデュトイ
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②3トライを挙げたWTB髙橋汰地
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③開始3分、ペナルティからSH福田健太が仕掛けトライに繋げた
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④2シーズン目で初スタメンを果たしたSO北村将大
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