GR東葛戦マッチレポート
試練の6連戦、始まる。
初戦は残り4分で逆転勝ち。
1週の休みを挟んで再開されたリーグワン。これから3月最終週まで、6週連続で試合が続くサバイバルレースの幕が開いた。
トヨタヴェルブリッツは2月18日、パロマ瑞穂ラグビー場でグリーンロケッツ東葛(GR東葛)と対戦。後半35分に逆転する苦しい展開となったが、21-18で3勝目を挙げた。
●
春の気配を感じさせる雨の中の試合。トヨタはウィリー・ルルーが初めて10番で先発。ティアーン・ファルコンが入れ替わって15番に入る布陣となった。
キックオフ直後から20分間、エリアで圧倒していたトヨタ。何度も相手ゴールライン寸前に迫るものの、ミスと相手防御の粘りに、得点に繋がらない。ひとつトライを取れれば、トヨタにほとばしるだろう試合の流れは、せき止められているうちに、少しずつ相手に傾いていく。
20分、トヨタはスクラムで反則。GR東葛はタッチキックを選択し、トヨタのゴール前に迫ると、ラインアウトモールでトライ。ここまで1勝6敗のGR東葛だが、ゴール前の防御とモールに強みを絞り、勢いを盛り返していった。
次第にトヨタに反則が目立ち始め、攻めても地域を戻されることが増えていく。32分にはPGを追加され、0-10とリードを許す。
このまま折り返すかという前半終了間際、嫌な流れを断ち切ったのは、両WTbだった。自陣10㍍のスクラムから、辛抱強くフェイズを重ねて前進。相手陣に入って左WTbヴィリアメ・ツイドラキがブレイク。最後はファルコンからパスを受けた右WTB髙橋汰地が、相手FBレメキ・ロマノラヴァのタックルを受けながらダイブ。片手でボールを抑えた。ファルコンが難しいコンバージョンを確実に決め、7-10と差を詰めての折り返しとなった。
「チャンスが来たので、WTbとしてトライを取り切るのが大事だと。(ダイビングトライは)練習したわけではないですけど(笑)、咄嗟にできました」(髙橋)
限られたチャンスで必ずとりきる、WTBの役割を全うしたトライだった。
髙橋のトライで息を吹き返したトヨタは後半8分、ルルーのトライで14-10と逆転する。相手キックをキャッチしたルルーがカウンター。これも我慢強く繋ぎ、CTBロブ・トンプソン、SH茂野海人と繋ぎ、サポートしていたルルーがインゴールへ。天性の読みが光ったトライだった。
だがその後もGR東葛のモールに苦しみ、24分にはラインアウトモールでトライを許し、再び14-15と追う立場に。28分にはDGを決められ、差は4点に。26分には交代出場したPR淺岡俊亮が危険なプレーでシンビンとなる。
重苦しい雰囲気を打ち破ったのは、
後半22分に交代出場で入ったNO8フェツアニラウタイミ。第5節のBL東京戦で負傷。この日が復帰戦となった背番号20はHL付近で相手キックをキャッチすると、壁をぶち抜くようなカウンター。すかさずSOルルーがフォロー、WTB髙橋が前に進め、最後はSH福田健太が相手防御を破って中央に飛び込んだ。ファルコンのコンバージョンも決まり、残り4分で21-18と再逆転。最後はFWがボールをキープして逃げ切った。
苦戦を招いた一因は、ペナルティの多さ。反則数は相手8に対し、トヨタは14。ゲームキャプテンを務めたFLピーターステフ・デュトイが、久保修平レフリーに確認する場面もしばしば見られた。実際に首をかしげる判定もあり、冷静さを保つことが試された試合でもあった。
会見でベン・へリングHCは「個人としてもフラストレーションを感じた試合。プレーしたいレベルで試合ができたとは思っていない」と厳しいコメント。デュトイは「今日の課題と収穫はディシプリン。この先、強い相手と対戦するときにディシプリンが大事になってくる」
第4節・埼玉WK戦以来の復帰となったNO8姫野和樹共同キャプテンも「ずっと後手後手だったけど、勝ち切った。そこだけは良かった。今日は喜んで、反省するところはしっかり反省して、明日から再スタートを切る」
勝って反省できたことが何よりの収穫だろう。
この試合では2年目のHO延山敏和がデビューを果たした。延山はフィールドプレーで強さを発揮、前半7分にはゴール寸前まで抜けた場面も。「スクラムは安定していましたが、ラインアウトはジャンパーとの息が合わないと捕れない。まだまだ課題」と振り返った。
次週、ホーム3連戦のラストの相手は横浜キヤノンイーグルス。昨年、氷雨の秩父宮で9-20と逆転負けを喫している。この試合で出た課題の修正力が試される。
①試合前、2月14日に逝去されたトヨタ自動車株式会社名誉会長、豊田章一郎氏に黙祷

②プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれたWTBヴィリアメ・ツイドラキ

③前半終了間際、嫌な流れを断ち切るトライを挙げたWTB髙橋汰地

④デビュー戦、80分フル出場したHO延山敏和

⑤オフロードパスに、キックも披露。
マルチぶりを見せたFLピーターステフ・デュトイ
