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JAPAN RUGBY LEAGUE ONEジャパンラグビーリーグワン

第10節
2023
3.5SUN
14:30
秩父宮ラグビー場(東京都)
27
15 前半 5
12 後半 15
20
T G PT PG DG T G PT PG DG
2 1 0 1 0 前半 1 0 0 0 0
2 1 0 0 0 後半 2 1 0 1 0
ゲームレポート

試合経過

  • トライ
  • コンバージョンゴール
  • ペナルティゴール
  • ドロップゴール
  • 入替・交替
  • ゴール失敗
  • イエローカード
  • レッドカード
トヨタヴェルブリッツ サントリーサンゴリアス
ヴィリアメ・ツイドラキ8'5-0
ティアーン・ファルコン9'5-0
24'5-5尾﨑 晟也
26'5-5アーロン クルーデン
アイザイア・マプスア31'10-5
ティアーン・ファルコン32'12-5
34'12-5箸本 龍雅→テビタ タタフ
35'12-5アーロン クルーデン
ティアーン・ファルコン42'15-5
前半終了
9'15-5中村 駿太→堀越 康介
9'15-5齋藤 直人→流 大
9'15-5中野 将伍→垣永 真之介
13'15-10テビタ リー
14'15-10アーロン クルーデン
14'15-12アーロン クルーデン→田村 煕
彦坂 圭克17'20-12
茂野 海人→福田 健太18'20-12
バティリアイ・ツイドラキ→ロブ・トンプソン18'20-12
アイザイア・マプスア→吉田 杏18'20-12
19'20-12ツイ ヘンドリック→トム サベッジ
19'20-12小林 賢太→石原 慎太郎
ティアーン・ファルコン19'20-12
21'20-17松島 幸太朗
フェツアニ ラウタイミ→ウィリアム・トゥポウ22'20-17
22'20-17流 大
ティアーン・ファルコン27'20-17
32'20-17イザヤ プニヴァイ→尾﨑 泰雅
姫野 和樹34'25-17
ティアーン・ファルコン35'27-17
崔 凌也→淺岡 俊亮36'27-17
42'27-20流 大
後半終了

メンバー

  • IN
  • OUT
  • CAPTAIN

スターティングメンバー

トヨタヴェルブリッツ サントリーサンゴリアス
FW1三浦 昌悟FW1小林 賢太
2彦坂 圭克2中村 駿太
3崔 凌也3中野 幹
4秋山 大地4ツイ ヘンドリック
5アイザイア・マプスア5ハリー ホッキングス
6ピーターステフ・デュトイ6下川 甲嗣
7姫野 和樹7山本 凱
8フェツアニ ラウタイミ8箸本 龍雅
HB9茂野 海人HB9齋藤 直人
10ウィリー・ルル―10アーロン クルーデン
TB11ヴィリアメ・ツイドラキTB11テビタ リー
12チャーリー・ローレンス12イザヤ プニヴァイ
13バティリアイ・ツイドラキ13中野 将伍
14髙橋 汰地14尾﨑 晟也
FB15ティアーン・ファルコンFB15松島 幸太朗

リザーブメンバー

16延山 敏和16堀越 康介
17竹井 勇二17石原 慎太郎
18淺岡 俊亮18垣永 真之介
19吉田 杏19トム サベッジ
20ウィリアム・トゥポウ20テビタ タタフ
21福田 健太21流 大
22ロブ・トンプソン22田村 煕
23山口 修平23尾﨑 泰雅

ゲームレポート

甦ったトヨタらしさ。

東京Sgから12季ぶり勝利

リーグワン第10節は3月5日、東京・秩父宮ラグビー場で行われ、トヨタヴェルブリッツは27-20で3位の東京サントリーサンゴリアス(東京SG)を下し、今季4勝目を挙げた。東京Sgからは2010年シーズン以来の勝利となる。

      ●

久々に「トヨタらしさ」を取り戻した80分間だった。

前節、横浜キヤノンイーグルス(横浜E)に7-39で敗戦。通算成績が3勝6敗となり、入替戦出場の10位まで順位を落とした。今季は開幕こそ勝利で飾ったものの、第2節三菱重工相模原ダイナボアーズ戦の黒星以降、なかなか上昇気流に乗れなかった。FL姫野和樹共同キャプテンは言う。

「三菱に負けた後、自分たち自身で複雑化してしまった。色々変化を加えたり戻したり...」

 横浜E戦での完敗が、改めて原点を見つめ直すきっかけとなる。

「今週、特別なことはしてません。チームが迷った部分があったので、同じ絵を見てコネクトする、自信を与えることにフォーカスした。明確にシンプルに。自信を持ってやる」(姫野共同キャプテン)

 これまでにない状況にスタッフも一丸となる。スティーブ・ハンセンDORもグラウンドで練習を直接指導。背水の陣で東京に乗り込んだ。

 試合は開始から東京SG相手に激しく前に出た。ブレイクダウンも持ち前の烈しさで圧倒。カウンターラックも勢いを取り戻した。

大きく修正されたのがディフェンスだ。速いラインスピードで前に出て、アタックを身上とする東京SGのゲインを許さない。これまではギャップをつかれることもあったが、横にいる選手と連携しあい、網を張った。倒れた選手もすぐに起き上がり、人数的に不利な状況を作らなかった。

8分、相手陣スクラムから鮮やかな先制トライを奪う。SOウィリー・ルルーの背後に走り込んだ右WTB髙橋汰地が左WTBヴィリアメ・ツイドラキへロングパス。左隅に飛び込んだ。起点は相手ボールスクラムの球出しにSH茂野海人が絡み、ノックオンを誘って得たマイボールのスクラム。進撃の始まりだった。

東京SGは、トヨタの接点での勢いに、次第にミスや反則が続くように。これまでの試合とはネガとポジを反転させた流れで、時間は進んだ。

24分に東京SGにトライを返され、5-5の同点に。31分にはラインアウトモールからサイド攻撃を仕掛けたHO彦坂圭克をフォローしたLOアイザイア・マプスアがトライ。12-5と勝ち越す。終了間際にもFBティアーン・ファルコンがPGを決め、15-5で折り返した。

後半、先にトライを奪ったのは東京SG。だがすぐにトヨタも13人のラインアウトモールからHO彦坂圭がトライ。20-12とリードを広げる。

相手は昨季の準優勝チーム。エリアや支配率で上回りながらも、なかなか突き放すことはできない。クロスゲームに決着がついたのは、後半34分のことだった。

相手陣10m付近のラインアウトから3分近く、攻撃を重ねる。FWBK関係なく辛抱強くボールを繋ぎ、じりじりと前進。8次を数えたところでCTBロブ・トンプソンが抜けだし、ゴール前へ。すぐにSH福田健太が持ち込み、最後はFL姫野が抑えた。規律高く全員が繋ぎ続けたボールを、キャプテンがフィニッシュ。8点差とした。この日の戦い方を象徴するトライだった。

その後の東京SGの猛攻も、全員で止め続けた。終了寸前、東京SGは勝ち点獲得のためPGを選択し、最終スコアは27-20。トヨタが勝利を挙げた。

前節の横浜E戦はタックル数113に対し、ミスタックルが49。この日はタックル数156でミスタックルが25。防御の改善は数字にも表れた。

対照的にビッグゲインはなかった。TMO判定でトライキャンセルとなったFBファルコンの独走(後半6分)を除けば、誰かが大きく抜け出す場面はなかった。一人ひとりが組織として機能していたから、トライを奪われても崩れなかった。

東京SGの田中澄憲監督は「トヨタのハードワーク、ハングリー精神に尽きる」。SH齋藤直人共同キャプテンも「想像以上にプレッシャーを受けて、いつもならしっかりセットできるところで、遅れてしまった」と振り返った。

会見に出た姫野共同キャプテンの声は嗄れていた。80分間、仲間を鼓舞し続けた証だ。練習から声を出し、プレーで引っ張り、チームを覚醒させたリーダーは仲間を称えた。

「僕はみんなの心に火をつけただけ。

トヨタのスタイルはパッションを持って、エナジーを持ってやること。それがカルチャー。一人ひとりの火つけ役が僕の役割」

 新戦力も収穫だった。前半31分にトライを奪ったLOアイザイア・マプスアだ。本人も「ビックリしました」。慶大からチームに合流して3週目、アーリーエントリー選手のトライ1号にもなった。SH茂野海人も「戦術の理解度が高い」と認める。バックファイブの層を厚くしてくれそうだ。

 これまでずっともがいていた。崖っぷちまで追い詰められた。そこで原点に立ち返り、ワールドカップ優勝選手も、まだ学生証を持つ選手もひたむきに身体を張り続けたら、東京SGから12季ぶりの勝利が手に入った。つくづく、ラグビーは奥深い。

(写真説明)

①東京SG 松島幸太朗にタックルするCTBバティリアイ・ツイドラキとFLピーターステフ・デュトイ

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②アーリーエントリーで出場したLOアイザイア・マプスア

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③モールからトライを奪ったHO彦坂圭克

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④後半34分、FL姫野和樹共同キャプテンが試合を決定づけるトライを奪う

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⑤会心の勝利に笑顔がこぼれる

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