2024/02/07
2月2日のトヨタイムズスポーツは、卓球の張本智和選手を特集した。試合では感情を爆発させるイメージの強い張本選手だが、生出演のスタジオでは20歳とは思えない落ち着きで、質問に対しても間髪を入れず丁寧に答えていく。歴史的大激闘となった全日本選手権の決勝やパリ大会について、テンポ良くトークのラリーを展開。通常の卓球の試合時間を超えてしゃべり続ける張本選手の姿は貴重で、抜群のコメント力を遺憾なく発揮していた。
グローバルチームトヨタアスリート(GTTA)の一員でもある張本選手。ワールドツアーグランドファイナルの史上最年少優勝や、東京2020オリンピックでの団体銅メダルなど、実績は説明するまでもない。しかし、全日本選手権に関しては、2018年に最年少の14歳で初優勝して以来、5年続けて惜しいところで頂点を逃していた。
トークの話題も、1月28日に行われた全日本選手権の男子シングルス決勝から。相手の戸上隼輔選手は大会2連覇中で、パリ大会の選考ポイントランキングでも張本選手に次ぐ2位。「この2年間で10度対戦して5勝5敗の相手で、苦しい試合になるなというのを感じていました」と張本選手は語る。
印象的だったのが、勝利を決めた瞬間の張本選手のリアクション。ぼうぜんとした表情でひざをついて倒れ込み、信じられないという感じで首を振りながらようやく笑顔を見せた。歴史に残る大逆転を演じられた理由について、張本選手はこう語った。
「東京大会が終わってからの2、3年間、いろんな勝ち方やいろんな負け方をして、逆転負けをしたことも何度もあって。そういうときに、ちょっと油断しちゃってるなとか、逆に相手は諦めずに来てるなとかを、自分が身を持って体験したからこそ、逆に逆転する側に今回は回れたと思う。今までたくさん悔しい負け方してきたのが一番の財産であって、今回の経験につながったのかなと思います」
張本選手のトーク力について、森田キャスターは「インタビューするとき、張本さんの場合すぐ答えが返ってきちゃうので、なかなか(次の質問を)考える余裕がなくて。卓球のラリーをやっているような気分なんです」と評する。
今回の優勝後のインタビューで「いつも自分インタビュー完璧なんですけど、今日は本当に言葉が出ないです」と話していた張本選手。スタジオでは「このときはちょっと興奮していたのもあって、恥ずかしい気持ちが全く、今はもう言えないんですけど。そういう感覚が麻痺しているのも、あの感動した試合のおかげなのかなって思います」と振り返った。
ボキャブラリーを身につける秘けつも披露し、文武両道の張本選手らしい回答。全日本選手権でのインタビューの深掘りは29:00から。
「たとえば試験勉強は、自分がやったところが出るかもしれないし、出ないかもしれない。1つでも多くの技術を身につけて、どんな状況でも1パターンでも多く対応するのが練習だと思う。試合はどうなるかわからないし、できるパフォーマンスも限られてくる。調子いい悪いもわからない。なので、試合でどうにかしたいというより、それまでにたくさん準備した方がいいのかなと思いますね」
張本選手が語る「試合は答え合わせ」という感覚や、そう考えるようになった経緯については34:37から。
パリ大会に向けて、張本選手には大きな仕事が残っている。2月16日から韓国で開催される世界卓球団体戦で、男子団体はベスト8に入ればパリ出場を決めることができる。目標は前回の銅メダル以上だが、まずは出場権を確実にしたい。
全日本選手権で激闘を繰り広げた戸上選手が、今回はチームメイトになる。張本選手は「こんなに強い選手が仲間となってくれるのは本当に心強いですし、戸上選手に勝てる選手はなかなかいないんじゃないかなと試合中も思っていました」と、共に戦うのを心待ちにしていた。
卓球の初心者向けに、バックハンドで打ち返す技「チキータ」についても張本選手は丁寧に解説してくれた(38:55から)。視聴者からも「こんなに長くしゃべったことは無かったと思う」と驚きのコメントが寄せられていた。言葉とパフォーマンスで人を魅了する卓球選手・張本智和の今後の活躍がますます楽しみだ。
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