2024/02/14
2月9日のトヨタイムズスポーツは、サウジアラビアで開催された「ダカールラリー2024」を特集した。市販車部門で11連覇を達成したチームランドクルーザー・トヨタオートボデーから、優勝ドライバーの三浦昂(あきら)選手が生出演。「間違いなく過去1番ハードでした」というランドクルーザー300 GR SPORTとの15日間を、現地の美しい写真と三浦選手の滑らかなトークで振り返った。
「時計の針だけが進んでいくのに、景色は変わらないという、不思議な世界でした」
ナビゲーターとしてダカールラリーを2007年と09年に制覇し、ドライバーに転向後も18、21、22年と優勝を重ねてきた三浦選手でも、今回の過酷さは今まで経験しなかったレベルだという。
アラビア半島を東西に往復するコースは総距離が約8,000kmで、競技区間のスペシャルステージは約4,700km。数字は昨年までと差はないが、難易度が年々上がっており、実際に改造車部門と市販車とのタイム差は大きく広がっている。
最新技術を取り入れた改造車に合わせたコース設定で、市販車にとってハードルが上がっていると三浦選手は分析。「毎日ゴールすること自体が大変。だからこそ完全走破したいという夢ができたんですけどね」と語る。
ステージの1日目は、キャンプで食事を終えると、寝落ちしてしまったそうだ。クロノステージ終了後、どことなくぼうぜんとした表情の三浦選手の現地インタビューと、クロノステージの本人解説は17:43から。
過酷なラリーを克服するための工夫の一つが、昨年から導入されたサスペンションシステムの「E-KDSS」。 固い路面と悪路でセッティングを切り替えることができる。詳細は前回のダカールラリー特集を見ていただきたい。
今回、三浦選手ともう1人のドライバーでは走行スタイルの違いにより「E-KDSS」のセッティングが異なっていた。「両パターンを試したことによって、新たに分かってくることがあるんです。ランクルはいろんなユーザーさんがいろんな使われ方をする中で、分析にも使えるデータになるんじゃないかな」と三浦選手。
E-KDSSによるサスペンション動作の違い。上:凹凸に対応下:平地での高速走行
今年のダカールラリーは、三浦選手にとって大きな変化があった。ずっとナビゲーターを務めてきたローラン・リシトロイシターさんが昨年4月に事故で亡くなったのだ。パートナーへの想いをこう語る。
「いろんな悲しさやつらさもあったんですけども、彼から学んだことを自分1人でちゃんと形にできなきゃっていう気持ちがすごくあったんです。彼って、苦しいことがあったり難しいときがあったりトラブルがあっても、いつも毎日を同じ気持ち同じテンションでということをやってたんで。それがプロフェッショナルなんだということを改めて感じたので、自分がそれをやるんだという気持ちが大きかったですね」
ローランさんとの約束、新たに相棒となったマイヨール・バルべ選手との交流などを三浦選手が語る場面は39:43から。
レーシングスーツが似合う三浦選手は、実はトヨタ車体の広報室に所属する社員ドライバーでもある。ダカールラリーの模様を現地から発信する役割や、ドライバーとして得た経験や気づきなどを直接関係者に伝える役割も担う。帰国後はさっそくランクル開発陣への報告を行い、来年のダカールラリーや未来のクルマづくりに向けて動き出している。
そして来年のダカールラリーは、チームが豊田章男会長との約束を果たす年だ。12連覇が約束であることを、三浦選手は「1日たりとも忘れたことないですよ」。その約束の経緯を三浦選手が話す、過去の放送のプレイバックは46:42から。
当の豊田会長からは、生放送中に「11連覇おめでとう」「いいクルマ作り、ダカールでも、やっている、、ありがとう」などのコメントが寄せられ、三浦選手は12連覇へのプレッシャーをいい意味で感じていた。
今年のダカールラリーの大変さに「もうおなかいっぱいです」と言っていた三浦選手だが、12連覇を達成したら「また20連覇まで頑張ります」と、やる気十分。過酷な大自然に挑み続ける選手たちとクルマの進化に、これからも期待したい!
三浦昂
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