2025/12/18

11月14日、豊田スタジアムでキリンチャレンジカップ2025日本代表vsガーナ代表戦がおこなわれた。この日、スカイホール豊田では日本サッカー協会(JFA)・日本障がい者サッカー連盟(JIFF)・トヨタ自動車がタッグを組んだサッカー体験イベントが開催され、街がサッカー一色に染まる中、来場者は特別な一日を味わった。
これは、トヨタがJFA・JIFFと連携し、推進するプロジェクト。「移動がチャレンジするための壁ではなく、夢を叶えるための可能性になってほしい」「サッカーが人々の原動力となり、日本の未来を元気にしたい」という同じ思いを掲げ、移動のストレスでスタジアム観戦に踏み出せない子どもたちとその家族を日本代表戦に招待。観戦のみならず、元サッカー日本代表・障がい者サッカー選手と交流する機会も提供している。5回目の開催となる今回は、地元・豊田市の協力のもと豊田市立豊田特別支援学校の児童生徒とその家族56名が参加。累計では220名を超えた。
当日は、愛知県内の販売店が提供したトヨタの福祉車両で、家族みんなが自宅から各会場までスムーズに送迎された。 これまで障害を理由にスポーツ観戦への一歩が踏み出せなかった方々も、このサポートによって“はじめて子どもたちと一緒にサッカー観戦を楽しむ”という機会を実現した。
参加家族からも「車いすが2台あると、スタジアム観戦はハードルが高く、これまで挑戦することすらできなかった」「車いす席までの丁寧なアテンドのおかげで、子どもたちも終始ご機嫌で過ごすことができた」という声が寄せられた。
また、前回の取り組みから「スポーツを“観る”だけでなく“する”楽しさを」のコンセプトのもと新たにスタートしているのが「まぜこぜウォーキングフットボール」のスポーツ体験である。「まぜこぜウォーキングフットボール」とは、障害の有無や年齢、性別を問わず、多様なメンバーが同じチームとして“歩いてプレーする”サッカーで、JIFFが中心となり推進しているスポーツだ。
このイベントには、元サッカー日本代表の安田理大さん、元パラ陸上選手でパラリンピックにも出場した佐藤圭太さん、そして参加者と同世代の小学6年生で電動車いすサッカー選手の内田大牙さんも参加した。


4つのチームに分かれておこなわれたまぜこぜウォーキングフットボール。参加者は、ウォーミングアップを終えて、セレブレーション(ゴールパフォーマンス)の練習に挑戦した。ここでは安田さんが、現役時代で磨いた経験と持ち前の明るさを存分に発揮し、全員が思わず笑顔になるポーズを次々と提案。会場の雰囲気を軽やかに引っ張りながら、初対面同士の距離をぐっと縮めていった。
試合が始まると、児童生徒や車いすを押しながら一緒にプレーする家族の笑い声、仲間を鼓舞する声が会場全体に響いた。ゴールが決まれば仲間同士が駆け寄ってハイタッチやハグで喜びを分かち合い、ミスをしても誰かがすぐに声を掛け、次のプレーへ背中を押す。まるで小さなスタジアムのような一体感が会場に生まれていた。
安田さんは、参加者を見守りながら、「ボール1つでみんなと繋がれる素晴らしい機会でした。必死にプレーする姿や笑顔に、こちらが元気をもらいました」と語る。思い入れのある豊田の地で、サッカーが生む一体感の大きさを改めて感じた様子だった。

サッカーからパラ陸上へ転向し競技を続けてきた佐藤さんは、今回の体験から「サッカーはもっとシンプルでいいんだ。ボールを追ってゴールを目指す楽しさを共有できました」と実感を込めて振り返る。誰もが同じ立場で楽しめるスポーツの広がりに期待を寄せた。

電動車いすの鋭いドリブルで会場を沸かせた内田さんは、「同世代と一緒にプレーできて楽しかったです」と笑顔を見せ、観戦後も「テレビとは全然違う迫力でした」と興奮気味。将来については「まずは日本代表を目指して、いつか世界一を取りたい」と力強く夢を語った。


ゴール後に満面の笑顔を見せた参加者の男の子は、「久しぶりにサッカーができて、とても楽しかった。また何かスポーツに挑戦したいです」と弾んだ声を聞かせてくれた。家族も「こうした場があるのは本当にありがたい。障害の有無にかかわらず参加できる機会がもっと広がってほしい」と話した。
まぜこぜウォーキングフットボール後、参加者は豊田スタジアムに移動し、SAMURAI BLUEの試合を観戦。目の前で躍動する選手たちに、子どもたちは身を乗り出し、迫力に目を輝かせた。家族からは、「一緒になって、あんなに盛り上がってスポーツを楽しめるなんて思っていませんでした」「この席(車いす観戦席)なら家族みんなで観戦できるとわかりました。また来たいと思えるようになりました」と前向きな声が寄せられた。
今回の参加者には、トヨタの冬季パラスポーツ体験をきっかけにパラアイスホッケーを始めた子どももいた。「日本代表になって金メダルを取りたいです」という言葉には、出会いが未来を広げる力が宿っていた。父親も「こうした機会をつくっていただけるのが本当にありがたいです」と感想を述べた。
JFAとトヨタがつくる“誰もが一歩踏み出せる場”は、子どもたちの表情を変え、家族の選択肢をそっと広げている。移動の支援、スポーツとの出会い、そして新しい世界への小さな一歩。こうした取り組みを積み重ねてきたトヨタの姿勢は、スポーツを通じて社会に寄り添い、未来をつくる力へと確かにつながっている。
同じボールを追い、同じ喜びを分かち合った今日の時間は、参加者それぞれの次の一歩につながるものとなった。










トヨタはJFA/日本サッカー協会モビリティパートナーとしてサッカー日本代表を応援しています。
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