2025/10/21
9月25日から10月5日まで開催された「ニューデリー2025世界パラ陸上競技選手権大会」。107の国と地域から約1,300人のトップアスリートが集結したパラ陸上競技の祭典に、トヨタ自動車からはパリ2024パラリンピックで6位入賞を果たした高橋峻也(やり投・F46クラス)と2025年入社の期待のルーキー石山大輝(100m/走幅跳・T12クラス)が出場した。
高橋は決勝で60.15mを投げ、3年ぶりの60m越えをマークし6位でフィニッシュ。石山は100mで準決勝敗退となるも、走幅跳では6m58の4位で大会を終え、収穫と課題を持ち帰る結果となった。
こうしてニューデリーでの激闘を終えた二人だったが、彼らには“もうひとつ”の大事な役目が残されていた。
世界パラ陸上を終えた高橋・石山は、パラスポーツをテーマにした特別授業の講師として、現地・ニューデリーの日本人学校を訪れていた。
元々国内で展開しているこの取り組みでは、トヨタに所属するパラアスリートが、豊田市をはじめとする近隣行政と連携し、講演やパラスポーツ体験を組み合わせた児童向けの特別授業を実施している。その背景にあるのは、長年スポーツ支援に注力してきたトヨタとして、障がいの有無を問わず、すべての人が自分自身の不可能に挑戦することができる”開かれた社会”の実現に向けて、何かに挑戦しようとする人の前に立ち塞がる“障がい”=“バリア”を無くしたい、という思いだ。
そして今回、世界パラ陸上の開催に合わせてニューデリー日本人学校と連携し、昨年のパリ2024オリンピック・パラリンピック時にフランス日本人学校を訪問して以来、2度目の海外開催が実現した。
ニューデリー日本人学校に通う小中学生・総勢286名を対象に実施された高橋・石山による特別授業は、これまでの経歴や自身の障がい、種目などについて紹介しながら、実際に生徒に体を動かしてもらうレクリエーションなどを通して、子どもたちに「パラスポーツの魅力や面白さ」「健常者も障がい者も関係なく、誰でもスポーツにチャレンジ出来ること」を伝えた。
高橋峻也(パラ陸上 やり投・F46クラス)
石山大輝(パラ陸上 100m/走幅跳・T12クラス)
障がいへの理解を深め、よりパラスポーツを身近に感じてもらうために、右腕に障がいをもつ高橋は、片腕だけでキャッチボールをするための技術「グラブスイッチ」を子供たちとともに実践。視覚障がいにより健常者に比べ視野が狭い状態の石山は、自身の障がいを身をもって体感できるプログラムとして、視覚搾取メガネ掛けた状態でのレクリエーションを実施した。
特別授業の中で、元高校球児で甲子園出場からパラアスリートへ転身した経歴をもつ高橋は、パラ陸上・やり投げの選手として世界の舞台へ挑戦するきっかけをくれた恩師との出会いを語り、「人との出会いを大切に」と子どもたちにメッセージを残した。石山も視覚障がいを抱える自身の困りごとや実体験を紹介し、生活の中で視覚障がい者の方に出会ったときの的確なサポートについて呼びかけた。
授業の後、生徒たちの感謝のメッセージが記された特製メダルが授与された
終始二人の話に聞き入っていた生徒からは「諦めないことの大切さを学んだ」「困っている人を見たら、助けてあげられるようになりたい」と言葉が溢れた。高橋・石山の言葉が子どもたちの心に大事なものを残した貴重な一日はこうして幕を閉じた。
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