2025/11/26

静かに熱く燃えた東京2025デフリンピック トヨタアスリート4人の挑戦!


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11月21日のトヨタイムズスポーツは、盛況のうちに閉幕した東京2025デフリンピックを特集した。


耳の聴こえない・聴こえにくい選手による4年に1度の国際大会は、日本初開催。トヨタから出場した円盤投の湯上剛輝選手が悲願の金メダルを獲得! 卓球の川口功人選手も団体で2大会連続の銅メダル。バスケットボールの加藤亮太選手、バレーボールの安田晃斗選手も自分の役割を果たした。


静かに熱く燃えた12日間から、トヨタアスリート4人の活躍を紹介する。

開会式の風景

開会式の風景

8年越しのリベンジ、円盤投の湯上剛輝が大会新記録


11月15日から26日まで開催された東京2025デフリンピックは、全21競技に約3千人の選手が出場。各会場は多くの観客を集め、バレーボールなどの競技会場では入場規制も行われた。

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大会の主役の一人が、健聴者も含めた大会でも活躍する円盤投の湯上剛輝選手(パワートレーン統括部)。今年4月には日本記録でデフ世界記録の64m48を投げ、9月には東京2025世界陸上に出場、10月には地元の滋賀県での国民スポーツ大会で優勝した。


デフリンピックでは、2017年のトルコ大会で不完全燃焼の銀メダル。22年のブラジル大会では現地入りしたが、選手団にコロナ陽性者が出て出場を辞退した。母国での金メダルは8年越しの悲願でもある。


23日に駒沢オリンピック公園総合運動場で迎えた決勝。本命視されるプレッシャーの中、1投目の54m46から徐々に記録を伸ばし、4投目に58m93。デフリンピック記録を更新した。金メダルを決めると、観客席から受け取った日の丸を広げて「よっしゃー」と叫び、応援してくれた人たちに応えた。


大一番が続いた今年の湯上選手を見守ってきた家族も、会場に駆けつけていた。表彰式を終えると、湯上選手は3歳の息子にお祝いの胴上げをしてみせた。

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川口功人が卓球団体で2大会連続の銅


卓球の川口功人選手(サービスパーツ物流部)は混合ダブルス・男子ダブルス・男子シングルス・男子団体の4種目に出場した。混合ダブルスは順調に勝ち進んだが、準々決勝で中国ペアと当たり、2-4で敗れてベスト8どまり。男子ダブルスも3回戦で敗退した。


番組では、川口選手がメダルを目標にしていた男子シングルスの序盤戦を取材した。20日の予選リーグでは、3試合をすべてストレート勝ち。強烈なフォアハンドを武器に圧倒し、勝負どころでの得点シーンでは吠え、相当な気合が入っている。

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21日の決勝トーナメントでは、1回戦を快勝。生中継中に行われた2回戦では、中国選手を相手に1セットを奪われたが、4-1で逆転勝ちした。インタビューでは「自分の強みであるフォアハンドを生かせるように、サーブを変えて自分から攻めていく戦術に変えていきました」と答えていた。


だが、続く3回戦で敗れてベスト16。残すは、前回大会で銅メダルを取った男子団体だ。


日本チームはリーグ戦をストレートで勝ち進み1位通過。準々決勝もポーランドに3-0で勝ってメダルを確定させた。銀メダル以上を目指したチャイニーズ・タイペイ戦では0-3で敗れたが、川口選手はフルセットを戦い最終セットは9-11で勝利を逃すという、惜しい試合だった。


悔しい銅メダルではあるが、第1子が生まれたばかりの川口にとっては、意味のあるメダル。胸を張ってほしい。

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来年3月には、実在の卓球選手をモデルにしたハリウッド映画『マーティ・シュプリーム』が日本で公開され、川口選手がラスボス的存在のライバル選手として出演する。普段の穏やかな姿からは想像できないほどのパッションを試合ではむき出しにしていたが、俳優としての演技も気になる川口選手の取材動画は33:04から。

バスケ加藤亮太が国際大会デビュー


バスケットボールの加藤亮太選手(本社工場 水素開発製造部)は、予選リーグ初戦のウクライナ戦で国際大会デビュー。後半から計8分20秒出場し、相手の意表を突くパスやドリブルで貢献した。


日本代表は初戦こそ敗れたものの、2戦目は強豪アルゼンチンを破り、予選突破をかけた3戦目、19日のイスラエル戦を番組が取材。接戦を繰り広げたが、最後は相手が地力の差を見せて74-84で敗戦。得失点差により予選リーグでの敗退が決まった。

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加藤選手は試合後のインタビューで「相手が強かったと思います。 でも全力で応援したつもりです。このようなたくさんの観客の中で試合ができたことはとても幸せに思います」と手話で答えていた。


応援に来た女子バスケットボール部OGの栗原三佳さんが「アイコンタクトの量が違う」と語っていた、バスケットボールの試合の模様は22:00から。

試合の流れを変えた、バレーボールの安田晃斗


バレーボールの安田晃斗選手(元町工場 車体部)は所属チームでキャプテンを務め、代表でもセッターとして流れを変える役割を担う。昨年の世界選手権は6位で、メダルが期待された。


予選ではブルガリアとフランスに勝利して決勝進出を決めて、20日に行われた最終戦のアメリカ戦を番組で応援した。ビーチバレーボール部OGの橋本涼加さんが感心したのは、選手同士のコミュニケーション。「音が聞こえない中で、あれだけキレイな形のブロックをそろえて点にできるのがすごい」と話し、軽く体に触れてのサイン確認や、選手の視野の広さなどを解説していた。

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途中出場の安田選手は、冷静なプレーだけでなく、熱いガッツポーズなどでチームを鼓舞。試合は1-3で敗れたが、全セットが3点差以内の接戦だった。


「ベンチにいる時も常に試合に出られるように、心の中で準備をしていました」とインタビューに答えていた安田選手の試合の模様は25:14から。


決勝トーナメントでは1回戦でウクライナに敗れ、順位決定戦で6位だった。

トヨタアスリート20人が「サインエール」リレー企画に参加


今回の大会では、開会式の演出に使われたトーチをトヨタのFCEV「MIRAI」が給電したほか、応援やコミュニケーションを支援するさまざまな技術が披露された。


会場のリボンビジョンには、アナウンスなどの音声をリアルタイムで文字にして表示。アイシンが開発した音声認識技術「YYSystem」が用いられている。この技術は、日常生活でもスマホアプリとして会話を文字起こしをすることで、聴覚障害者とのコミュニケーションをサポートする。


会場中央の大型ビジョンには、試合の打球音に合わせて「カッ」「コッ」などの文字を試合映像上に漫画のように表示して可視化。デフスポーツならではの試合観戦が楽しめた。また竹中七海キャスターは、会場で配られていたという、指差しで会話したい内容を伝える「ユニバーサルチャットボード」も紹介していた。


そして、メディアなどで注目を集めていたのが、「行け!」「大丈夫、勝つ!」などの応援を手話で届ける「サインエール」だ。トヨタイムズスポーツでも、卓球の張本智和選手やラグビーのアーロン・スミス選手ら20人のアスリートがサインエールのリレー企画に参加。声を出さない応援方法は、他のスポーツの観戦でも活用できるかもしれない。


耳が聴こえない・聴こえにくいことは、外見だけでは判断しにくい。デフリンピックを通じて得られた気づきや新しいコミュニケーションは、未来の共生社会への新たな一歩になるはずだ!

毎週金曜日11:50からYouTubeで生配信しているトヨタイムズスポーツ。次回(2025年11月28日)は、今年のモータースポーツを盛り上げた“最速夫婦”の坪井翔選手と斎藤愛未選手をゲストに迎える。坪井選手はスーパーGTを3連覇。スーパーフォーミュラは連覇を逃し年間2位に終わったが、今年はF1のテスト走行にも挑んだ。斎藤選手はKYOJO CUPで年間ランキング3位。お互いのレースに駆けつけて支えあった2人の2025年を振り返る。ぜひ、お見逃しなく!

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