2023/06/14
ドリフトの技術を競うフォーミュラドリフトジャパンを特集した6月9日のトヨタイムズスポーツ。第2戦に電撃参戦した世界ラリー選手権(WRC)の王者カッレ・ロバンペラ選手に注目した。観客だけでなく、ドライバーや関係者にも衝撃を与えたGRカローラでのロバンぺラ選手の異次元ドリフト。その“神"運転を余すことなくお伝えする。
今回の特集のきっかけは、前週の富士24時間レース特集のゲストで、多くのクルマの開発に携わるレーシングドライバー、佐々木雅弘選手が4月にインスタグラムで発した一言から。ロバンペラ選手が大会にスポット参戦するというニュースに佐々木選手は「ドリフト観たい!!」と興奮を隠せない様子だった。
ロバンペラ選手は、昨シーズンのWRCで史上最年少のドライバーズチャンピオンに輝いた22歳。そんなドライバーが公式にエントリーしたということで、モータースポーツファンや関係者がザワついた。そんな中、取材を敢行した森田京之介キャスターは、その衝撃の余韻がずっと残っているという。
予選から取材した森田キャスターと解説の佐々木選手の前に、さっそくロバンペラ選手が登場。雨で路面がウェットなコンディションの中を、トップバッターとして正確かつ豪快な走りを披露する。
ちなみに予選は2回の単独走行で行われ、100点満点での採点。コースポイント(白い枠)を正確に通過すると高得点の「ライン」、進入角度の深さを競う「アングル」、スピードや音、煙などの「スタイル」が採点基準。ロバンペラ選手の正確なラインが見やすい1回目の走行は14:05から!
予選終了後には、トヨタ車に乗る選手にインタビュー。松山北斗選手はトヨタ社員で、普段は下山テストコースで勤務している。プライベートでの出場にもかかわらず、昨年のシリーズチャンピオンを獲得した実力者だ。
ラリー世界王者の走りを目の当たりにして、松山選手は「ドライビングの精度がすごい高い」。北米で活躍するケングシ選手も「こっちも熱くなった」と刺激を受けていた。
ここでもロバンペラ選手は圧倒的な走りを見せ、勝ち進んでいく。後追いでは、先行車から離れずに追走する“寄り添いドリフト"も披露。いつもは冷静沈着な佐々木選手から出た「すごい」の回数が、もはや数え切れなくなるほど。ドローンから撮影した光景も迫力十分だが、車載カメラの映像は30:01から!
対戦相手が変わっても安定した走りに、番組を見ていた視聴者が「レールの上走ってるみたい」とコメント。佐々木選手は「何回走っても同じように、同じ所を通りながら…本当にすごい。左足ブレーキを使ったり、サイドブレーキを使ったり、いろんなことを調整しながら走っています」と解説していた。
優勝したロバンペラ選手は「車を操るのが世界一上手い」というのが、この日の佐々木選手と森田キャスターの結論。
大会審査員が「これほどの技術がまだ(ドリフトの世界に)あるんだ」と評したロバンペラ選手だが、当の本人は自分が優勝したという意識はあまりなかったらしい。そんな謙虚な人柄もうかがえるインタビューは33:57から。
世界王者の参戦は、多くの選手にポジティブな影響を与えている。準決勝で敗れた箕輪大也選手は13歳の中学2年生。現在ランキングのトップを争っており、「ロバンペラ選手の使ったテクニックを、逆に自分が使えるように取り組んでいきたい」と話していた。
番組では競技だけでなく、もっといいクルマづくりにドリフトがどう活きるのかも取材。GRカローラの坂本尚之チーフエンジニアは「後輪でしっかりと路面にパワーを伝えるための工夫をしています」と例を挙げ、「そういった知見が集まれば、次の開発につながっていく」と語る。
他のモータースポーツとは異なる条件の現場で鍛えられることで、クルマの可能性は高められる。それをさらに高めるのが、ドライバーがクルマをコントロールする究極の技術。ヒトもクルマもお互いに高め合うモータースポーツの現場から、ますます目が離せない。
ラリー
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