2025/12/03

11月28日のトヨタイムズスポーツは、“日本一速い夫婦”とも呼ばれる坪井翔選手と斎藤愛未選手をゲストに迎え、2025年のモータースポーツを振り返った。
スーパーGT3連覇、夫婦での富士24時間出場など、さまざまなカテゴリのレースを盛り上げた2人が、パートナーだから知る裏話などを披露した。ドライバーの“素”のキャラクターが垣間見えるフリートークも必見!
2025年も残すところ1カ月。スタジオに招いたのは、3年前に結婚を発表した坪井選手と斎藤選手。取材以外で2人そろってメディアに出演することは珍しく、坪井選手は「なんか不思議な感じ」、斎藤選手は「気が緩まないように気をつけます」と話していた。
トップドライバーの両選手は、2024年にはスーパーフォーミュラ・スーパーGT・KYOJO CUPの夫婦で3冠を達成し、富士で同時優勝も成し遂げている。番組では、今年も各カテゴリーでトップ争いを繰り広げた2人の活躍を、謎のアイテム「坪井のつぼ」とともに振り返った。

レースがある時の2人は、出場しない方がサーキットまでクルマで送り迎えして、お互いが身体を休められるようにしているという。坪井選手のドライビングは、妻によると「法定速度なんですけど攻めすぎて。ブレーキもしっかり踏む」。普段もプロドライバーが抜けていないようだ。
「駐車する時は不安になります。モニターを見ないんですよ」と斎藤選手。意外な苦手を暴露された坪井選手は「レースはバックしないんで。ミラーでの感覚が染みついて、モニターで見た時の感覚がわからない」と明かしていた。
休みの合う日が少ない多忙な2人だが、先日はたまたま3日間空いていて、神戸や徳島へ旅行に行ったという。極秘に入手した旅行の写真が公開されると、坪井選手は今までにない動揺を見せていた。


番組では息ピッタリだった2人だが、プライベートでは性格が正反対とのこと。朝は1時間前に起きてゆっくりしたい斎藤選手に対して、坪井選手は30分前に起きてテキパキと準備するそうで、斎藤選手は「サーキットで1分1秒を縮めようとしていますけど、 私生活でもコンマ何秒を巻こうとしている」と評した。
番組の最後では、坪井選手が妻の名前を呼んでいないという、視聴者からの指摘コメントを紹介した。恥ずかしがって言っていないことは明白で、普段はお互いをどう呼んでいるかを聞く流れに。照れながら呼び名を明かすという初々しいやり取りに、森田京之介キャスターまでも恥ずかしがっていた。
お互いの呼び名が気になるコメント紹介は1:07:28から。
プライベートでは動画配信サービスを見ていることが多い坪井選手と斎藤選手。それ以上に時間を費やしていると思われるのが、スーパーフォーミュラの公式アプリ「SFgo」だ。各選手のオンボードカメラの映像を見ることができ、チームの無線などもそのまま聞くことができる。
斎藤選手は「プロドライバーの車載を見られるのは、私たちにとってはありがたい勉強材料」。坪井選手も「自分のも見るし、人のも見る。 無線とかを聞いて、こういう時にこう考えて運転していたんだなというのが後日わかるので、予習復習で使っています」と語った。
ただ、見始めると長くなってしまい、夜まで見ていることも。斎藤選手に「朝からエンジン音はちょっと」と言われて、朝は控えているそうだ。

そのスーパーフォーミュラでは、昨年王者の坪井選手はトップを走っていたが、2位以下にホンダの選手が続く“坪井包囲網”の状態。ホンダの本拠地の鈴鹿で迎えた最終週は、11月22・23日に計3戦の決勝が行われることになり、厳しい戦いを強いられた。
最終戦は、表彰台に入れば自力で年間チャンピオンというシチュエーション。7番グリッドに「ここまで来たら楽しくレースできれば。どんどんプレッシャーをかけて引っかき回してやりたい」と意気込む坪井選手は、スタート直後の1コーナーから勝負をかけ、2周目にタイヤ交換という大胆な戦略に出た。
結果は8位でのフィニッシュで、年間では2位と連覇を逃した。坪井選手は「やれるだけのことをやった結果が、 2 位だったと思う」と潔く負けを認め、見守った斎藤選手も「涙がこぼれそうなくらい、熱い走りを見せてもらった」と振り返る。

連覇こそ逃したが、王者らしい開き直った走りを見せたSF最終週の模様は8:25から。
5月31日~6月1日に行われたスーパー耐久第3戦の富士24時間レースでは、低炭素ガソリンで走るGR86のドライバーを夫婦で担当。斎藤選手は予定になかった夜間の走行もあったが、無事にバトンタッチして完走した。
斎藤選手がツーリングカーに乗るのが初めてで、坪井選手は「安全に帰ってきてくれ」と心配していた。斎藤選手は「混走も慣れていなくて不安はあったんですけど、いいクルマづくりのおかげで乗りやすく、走り切ることができました」と語る。
レースを通じたクルマづくりへの参加について、坪井選手は「ただ速く走るだけじゃなくて、お客さんに乗ってもらうクルマにも生かされてくる。広い視野でクルマのことを感じてコメントする難しさも感じますし、やりがいも感じます。(斎藤選手が)手が小さいとシフトノブが大きいとか、女性ならではのコメントをしてくれて、そういうのが開発につながると思う」と話す。

レーシングスーツでのツーショットが貴重な富士24時間のVTRは22:47から。
11月1・2日にもてぎで行われたスーパーGTの最終戦で、坪井選手と山下健太選手のau TOM’S GR スープラは盤石の走りで優勝。チームと坪井選手はGT500で前人未到の3連覇を果たした。
勝てば勝つほどサクセスウェイトを積まなければならないスーパーGTでは、勝ち続けるのは至難の業であるはず。その理由について、坪井選手は「自信というところが大きい。このメンバーでこうレースをしたらチャンピオンを取れるというのが、1回経験しているとわかるので。しっかりその道を歩き続けた結果が、こういう結果になっていると思います」と説明した。

通算4回の年間王者は歴代トップタイ。「今年も本当にギリギリで、危ういシーンはたくさんあった。そんなに簡単に獲れるシリーズじゃないですけど、来年も獲りたいですね」と語る。
王者の自信も感じさせるスーパーGTのまとめは29:25から。
今年の坪井選手の初めての挑戦が、子どもの頃からの夢だったF1だ。ハースF1チームが8月に富士で行った旧型車両テスト(TPC)に参加し、初めてF1マシンに乗った。番組では、10月に英国のシルバーストンで行われた2回目のテストについても、入手した映像を公開した。
F1マシンで感じた一番の違いについて、「やっぱりダウンフォースですね。ハイスピードコーナーで桁違いの速さで曲がるので。『ここまで(アクセル)踏んじゃって本当に大丈夫?』みたいな」と
言っていた坪井選手。「より F1 が近く感じられたので、もっと距離を縮めていきたい」と抱負を語った。

妻から見ても楽しそうな表情だったという、坪井選手のF1走行は36:12から。
女性限定のKYOJO CUPでは、昨年の女王である斎藤選手は初挑戦のフォーミュラカーに苦戦しながらも年間3位。7月と10月にはスーパーフォーミュラとの同時開催があり、夫婦で活躍した7月のレースの模様は42:39から。
両レースの予選と決勝が交互に行われる中、坪井選手がレース直前の斎藤選手に寄り添ってアドバイスをする場面も。坪井選手は「ピットが隣だから助かりました。(斎藤選手が)フォーミュラが初めてだったんで、(自分の方が)経験値がある分、言えることは言おうと思いました」と語った。
斎藤選手はこの1年の走りについて、「難しいこともあったんですけど、何よりもフォーミュラに乗れる楽しさが一番大きくて。みんなもどんどん速くなりますし、KYOJO全体で成長できた 1年でした」と振り返った。

2人は今年のレース納めとなったスーパーフォーミュラ最終戦の翌日、夫婦でハマった韓国ドラマ「おつかれさま」の最終回を見て、号泣していたそうだ。坪井選手は「(連覇を逃した)悔し涙も一緒に混ざっちゃったような感じで」とスタジオでは笑っていたが、ある意味で本音かもしれない。喜びも悔しさも分かち合うことができる最強の2人に、「今年もおつかれさま」と声を掛けてあげたい。
毎週金曜日11:50からYouTubeで生配信しているトヨタイムズスポーツ。次回(2025年12月5日)は、ラグビーのトヨタヴェルブリッツを特集する。12月13日に迫ったリーグワンの開幕を前に、今季のチーム状態や新戦力について竹中七海アスリートキャスターが徹底取材。広報部に所属する大籔洸太選手もチームの意外な一面を探るべく潜入取材を敢行する。ぜひ、お見逃しなく!
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