2025/02/05

三浦昂とモリゾウの次なる約束 ダカールラリー12連覇はゴールじゃない!


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1月31日のトヨタイムズスポーツは、ダカールラリー2025を特集した。サウジアラビアで15日間にわたり開催されたラリーは、チームランドクルーザー・トヨタオートボデー(TLC)が市販車部門で12連覇を達成! 優勝ドライバーの三浦昂選手がスタジオに凱旋し、過去最高に過酷だった道のりや、ついに果たしたアノ人との“約束”について語った。ラリー期間中は感情がパンクしそうだった三浦選手を励まし続けたのが、湘南乃風によるCM曲「冒険者」。その歌詞で激闘を振り返った後は、うれしいサプライズも!

ついに12連覇達成、豊田会長との新たな約束は?


ダカールラリーを走るランドクルーザー300 GR SPORTの映像と、湘南乃風が歌う「冒険者」の曲で展開されるCMを、テレビで見た人も多いだろう。画面に何度も映る主役の一人が、TLCのドライバーである三浦選手だ。トヨタ車体 広報室に所属する社員ドライバーであり、1月3日から17日まで開催された今年のダカールラリーでも、期待に応えて12連覇を成し遂げた。

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番組出演の直前には、豊田章男会長に優勝を報告。そもそも「12」という数字は、TLCが8連覇を達成した時に豊田会長と約束していた、チームにとって大きな目標だった。とある勘違いから生まれた約束の経緯の振り返りは12:57から。

豊田会長からは、15日間の激闘を相撲の場所に例えて、労いの言葉が掛けられたそうだ。「横綱を目指します」と答えていた三浦選手。次の“約束”は「まだちょっと秘密」とのことだが、来年以降の目標に向けてTLCは早くも動き出しているようだ。

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走行時間が大幅に増え、過去最高の過酷さを更新


「ゴールした時は、喜び以上にホッとしたという安堵感が大きい」

三浦選手が話すように、2025年のダカールラリーも、これまでの過酷さを更新した。実際に、スペシャルステージ(競技区間)の合計タイムは例年だと60から70時間だが、今回の三浦選手の走行時間は83時間半。期間は変わらないのにかかわらず、コースの難易度はさらに増している。

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ランクルを鍛える、未知の領域へのチャレンジ


今年の三浦選手を支えていた音楽が、湘南乃風の「冒険者」。ラリー開幕の2日前にリリースされると、海外の電波の悪い中でダウンロードして、一人で何度も聴いたという。

印象的な曲の一節が「道に俺は鍛えられたんだろう」。ハードな自然環境でランクルを鍛えるという、「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を象徴するフレーズでもある。

今回の大きなチャレンジが、サスペンションのストローク量を伸ばしたことだった。3年前のランクル200の時代までは、完走や勝負のために信頼性を重視し、市販車よりもストローク量を減らしていた。ランクル300の一昨年と昨年は、市販車の持つ走破性をぶつけようと、同じストローク量でトライした。そして2025年は、「市販者の設計で試したことのない領域まで、やれる限界までストローク量を上げて、誰も見たことない世界にチャレンジしようという思いがあった」と三浦選手。

「去年まで作り上げてきた信頼性を一旦リセットして走破性を高めたので、当然いろんなトラブルが起きることも想像したんですけども。でも未来のランクルを鍛えていこうと思ったら、今のダカールにとにかく立ち向かって挑戦するしかない。思い切ってこういうクルマを作りました」

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その結果、走破性は確実に向上。コースの側の厳しさも進化しており、ランクル自体の進化がなければ「終盤戦は本当に走り切れたかどうか」。ランクルを道で鍛える新たな挑戦のエピソードは17:03から。

「パンクしそうな感情」を救った音楽とチーム


スタジオではラリーの楽しさを笑顔で語る三浦選手だが、追い込まれる場面も多かった。「冒険者」の曲中の「パンクしそうな感情」というフレーズを聴いて、「なんで今僕たちがこの状況になることを先に歌えたんだろう」と思ったそうだ。

勝負どころと考えていた第2・第6ステージで、大きなトラブルに見舞われた。タイムを詰めなければならない第9ステージでは、タイヤを次々とパンクさせてしまいスペアを使い切った。精神的にもまさに「パンクしそうでした」と話す。

「『冒険者』を聞いて、まだやれるはずだって、本当にこの曲に救われました」と三浦選手。もちろん、それだけではなく、ライバルでもあるチームメイトや、負の感情が表に出ているのを指摘してくれたスタッフにも支えられての12連覇。「毎年本当にいろんなことが起きて。悔しさがあって喜びもあった12年間だったと思いますね」と語っていた。

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歌詞と気持ちがシンクロした、三浦選手の本音トークは22:51から。

湘南乃風のRED RICEさんからメッセージ


クルマだけでなく三浦選手自身も、ダカールラリーに向けた進化を続けていた。富士スピードウェイのレースを走ったり、FIAのラリーの改造車部門に出場したりした。サーキットの予選でのタイムアタックは、その一瞬に自分の持つパフォーマンスを100%発揮しなければならないという点で、ダカールの本番でも経験が生かされたという。

そんな三浦選手にサプライズのVTRが。湘南乃風のリーダーのRED RICEさんからのメッセージだ。優勝を祝福するとともに、「『ゴールなんてない』というフレーズを気に入っていただけたのが、僕の中でうれしくて。僕も曲を作ってる中で、あそこの歌詞はすごい冒険だったんですよ。ゴールは次のスタートなので、終わりなきこの冒険を、どこまでも走り続けてほしいと思います」とエールを送っていた。

感激した三浦選手は、ゴールがないという歌詞について「僕はダカールをゴールして満足したことって 1度もないんですよ。どうしたら満足できるんだろうと悩んだ時期もあったんですけど、満足せずに追い求めたいと思えるものがあることこそ幸せなんだと今思っているので。それをこう伝えてくれたのはうれしかったですね」と共感していた。

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市販車の部門に新たなライバルが参戦


来年のダカールラリーは、レギュレーションが大きく変更される。市販車の出場する部門は継続するが、多くのチームが参加しやすくなる見込み。早くもランドローバー社が本格的な体制で参戦することを発表している。

新たなライバルを迎え、さらなる進化に向けて鍛えなければならないランクルと三浦選手。冒険者たちにゴールはない。

毎週金曜日11:50からYouTubeで生配信しているトヨタイムズスポーツ。次回(2025年2月7日)はアスリートのセカンドキャリアを特集する。昨シーズンで引退した2人をクローズアップ。女子ソフトボール部のコーチに就任した原田のどかさんの仕事ぶりを取材した。スタジオには、硬式野球部の広報を務める高橋優さんが出演。ぜひ、お見逃しなく!

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