2025/03/26
3月21日のトヨタイムズスポーツは、春のスペシャル第2弾。今春トヨタに入社する3人の個人アスリートを特集した。パラ陸上走幅跳の石山大輝選手、パラ水泳の南井瑛翔選手、陸上ハードルの豊田兼選手の3名は、この放送がトヨタアスリートとしてのお披露目。スタジオ生出演に緊張しながらも、それぞれの個性をアピールしていた。昨年のパリ大会にも出場して実績も十分な3選手の、社会人としてのさらなる飛躍がはじまる!
3年後のロス大会での活躍を期待される新人選手が、トヨタアスリートの第一歩を踏み出した。入社式よりひと足早く公の場に登場した3人には、番組からトヨタの作業着をプレゼント。さっそく袖を通してもらった。
この日は3人の記者会見も行われており、森田京之介キャスターは「これからいろんな取材の場に出てもらうなかで、慣れていってほしい。今日この生出演の場は有効活用して、どんどん自分を出していただきたい」と話していた。
スタジオには、お目付け役として先輩の元アスリートも同席した。リオ2016パラリンピックの銅メダリスト佐藤圭太さんは「緊張感が伝わってきてフレッシュな感じ」、新体操の元日本代表の竹中七海さんは「爽やかイケメンの勢ぞろい」とコメント。現役の先輩アスリートであるパラ陸上の石田駆選手も「お久しぶり!また一緒に走りたい」と生放送のチャット欄で呼び掛けていた。
紹介する1人目は走幅跳の石山大輝選手。パリ2024パラリンピックの開会式で日本選手団の旗手を務め、競技では惜しくも5位。昨年の世界選手権では7m08の日本新を記録で、銀メダルを獲得している。
石山選手の視覚障がいは、視野が狭くて中央以外がほとんど見えないというもの。見え方を再現する技術の映像を見ても、足元が全く見えていないことがわかる。普段の生活では左右で違う色の靴を履いている石山選手だが、競技で難しさを感じるのは着地のタイミング。地面との距離が見えないため、足の振り出し方の改良を試みているそうだ。
「跳躍種目は1人がその瞬間だけセンターに立てる。注目を浴びて、いいパフォーマンスができれば一番かっこいいなと思います」と語る石山選手。そのポジティブな性格は、石山選手の大きな武器だ。応援の数が多いほど、力を発揮してくれるに違いない。
トヨタスポーツ推進部で石山選手を担当する佐藤さんが、本人の練習を取材。この日は冬のウェイトトレーニング明けで跳躍の練習を再開したばかりだったが、動作などを丁寧に確認していた。佐藤さんは「自分の考えを言葉にして内省できているのが素晴らしい。視覚情報がない分、いろんなことに左右されずに自分の中で完結できる能力を持っている」と評価していた。
石山選手の練習風景のVTRは13:23から。
パラ水泳の南井瑛翔選手は、下の名前は「あきと」と読む。18歳で東京大会に出場し、2022年のアジアパラ大会では 100mバタフライと200m個人メドレーで金メダル。パリ大会では100mバタフライと100m背泳ぎで決勝に進出。日本記録を8個、アジア記録を4個持っている。
下肢障がいのクラスで、左足首が生まれつき欠損している。トレーニングでは左右のバランスや体幹を意識しており、取材時にはプールに入る前、泳ぎを崩さないように陸上で丹念に「体を固める」光景が見られた。
南井選手の練習を取材した竹中さんが気になったのは、見事な逆三角形の筋肉。写真を撮りながら「肩甲骨すごい」「骨盤がちゃんと安定している」と驚いていた。筋肉の大部分は、幼い頃から水泳一筋で、水の中で鍛えられたという。
個人メドレーで4泳法を練習する分、泳ぎ続ける時間も長くなるが、つらそうな表情は見せない。スタジオで発していた「伸びしろしかない」「弱点はない」などの強気な言葉は、自らに言い聞かせることでそれを実現していく、南井選手の長所だと言えるだろう。
南井選手の取材VTRは24:12から。
豊田兼選手は身長196cmで、400mハードルを主戦場とする陸上選手。名字は「とよだ」だが、トヨタ社内では呼びづらい人も多いはずなので、「トヨケン」の愛称で呼んでほしいそうだ。
父親がフランス人のハーフで、パリ大会には思い入れがあった。しかし、足を痛めて決勝進出はならず、「奮起する大会になりました」と振り返る。自己ベストは47秒 99で、為末大さんが持つ日本記録と0秒1差。自分が生まれる前の2001年から更新されていない記録に対し、豊田選手は「(9月の)世界陸上でファイナリストになるには47秒前半が必要。5月か6月にでも越したい」と、今年に懸ける想いを語った。
先に紹介された2人とは対照的に、控えめな性格の豊田選手。取材では、雨の中のハードな練習をこなしてグッタリと倒れ込む姿も絵になり、逆にファン心理をくすぐりそうだ。取材VTRは38:08から。
同じ陸上の佐藤さんが「めちゃめちゃ過酷、凄まじい競技」と語る400mハードルは、何歩で跳ぶかの戦略が非常に難しい。豊田選手は必ず右足から先にハードルを越え、ハードルの間は13歩、最後の2台は15歩で走っている。世界では左右のどちらでも跳ぶ選手もおり、タイムを伸ばすための選択は重要となる。
番組では、3人の新人アスリートの素顔に迫るために、「初任給で最初の晩餐は?」「会社で何と呼んでほしい?」という質問にも答えてもらった。「回らない寿司」「シュラスコ」などの三者三様のコメントや初々しい反応を、ぜひ見ていただきたい。
スペシャルオリンピックス(知的障がい者の世界大会)冬季大会のリポート(1:01:57 から)のために出演したショートトラックのオリンピアン寺尾悟さんも「現役生活は限られた時間ですので、思いっきりやってほしい」とエールを送っていた。
3人は早くも4月に、国内開催の大会に出場する予定。トヨタアスリートとして浴びる声援の大きさは、きっと彼らに大きな力を与えてくれるはずだ。
毎週金曜日11:50からYouTubeで生配信しているトヨタイムズスポーツ。次回(2025年4月4日)は、新人アスリートを特集する。ぜひ、お見逃しなく!
パラ水泳
,パラアスリート
,トヨタイムズ
,パラ陸上競技