2023/03/01
2月24日に配信されたトヨタイムズスポーツは、今シーズンで現役を引退したアスリートと、そのセカンドキャリアを特集。元硬式野球部の河合さんら4人の決意や感謝のメッセージ、現在の仕事ぶりなどを取材した。選手時代に培った力を新しいキャリアでどう活かそうとしているのか、新しい世界で何に挑戦しようとしているのか。彼らの思いを知れば、スポーツを応援したりサポートしたりする意義を深く理解することにもつながるはずだ。
六埜さんは過去にも番組に出演しており、決めぜりふは「RockOn!」。スタッフのいたずらで名前を「ロックオン雅司」と紹介され、本人も「芸人みたい」と苦笑していたが、要所では「RockOn!」の直球をビシッと決めてみせた。
特集で紹介するのは、元硬式野球部の河合さんと村川さん、元スケート部の横山さん、元女子ソフトボール部の有吉さんの4人。六埜さんは硬式野球部で河合さんが同期、村川さんが3年後輩。一昨年の都市対抗野球特集での2人の紹介も必見だ。有吉さんは現在の職場の後輩となる。
まず登場したのが河合さん。2017年の全日本選手権での活躍を振り返った後に、森田キャスターが現在の職場を訪れた取材VTRへ。オフィスでの河合さんは、作業着姿も板についていた。
ユニット工務部の工場経営管理室で、工場の生産性や費用などの管理をしている河合さん。「いろいろ戸惑うことはありますけど、野球以上に頑張らなきゃいけない」と話す。
河合さんが担当する現場を訪問し、第21機械課長の椿さんと打ち解けた感じで話す姿にも密着。椿さんは「いろんな技能や知識という前に、人としてどうやって接するかが一番大事。その一歩は完全にできている。野球で培ってきた人とのつながりがすごく活きている」と、河合さんのことを絶賛していた。
番組では今回、河合さんたち引退アスリートに、「金」ならぬ「全メダル」をプレゼントした。感動や興奮、夢や希望を与えてくれ、トヨタを一つにしてくれた選手たちの、これまで積み重ねてきた全ての努力に感謝したいという想いを込めたメダルだ。
メダルを受け取って「ありがとうございます」と笑顔の河合さんを見て、六埜さんは「僕自身も職場に行って、(仕事が)できているのか気になりながらやっていた部分もある。(河合さんは)三好工場の皆さんに信頼されてるところもあり、気配り目配りもできているなって」と同期の活躍に感慨深そう。
そして、「アスリートは応援してもらえるから頑張れる、見てもらえるから頑張れる。従業員の方もアスリートが頑張ってる姿を見て、じゃあ明日も頑張って仕事に行こうっていう気持ちが、相乗効果に結びつく。トヨタとしてスポーツがある意味は、そういうところなのかなとあらためて感じました」と話していた。
同じく元硬式野球部の村川さんは現在、MS統括部車両プロジェクト室に所属。全メダルを首に掛けた本人のコメントが、番組に届けられた。
村川さんは6年間の現役生活を支えてくれた人々に感謝を述べた後、「思うようなプレーができず苦しい時期もあり、自分に足りない部分に向き合いながら練習することがありました。その時期に行ったことが大きな成長につながったと思いますし、今後の人生においてもこの経験を活かして頑張っていきたいと思っています」と語った。
動画ではどこか硬い表情だった村川さん。そこで紹介されたのが、「パプリカ」を歌う選手時代の村川さんのVTRだ。六埜さんは「村川といえばパプリカですから。職場でまだ歌ったことないんじゃないですか。早く自分の殻を破って職場に溶け込んで欲しいです」と後輩にアドバイスしていた。
視聴者のチャット欄では、総務人事本部の東本部長が「もの静かな長谷部銀次が明るくなったのも、村川のおかげらしい」という情報を提供。この春にプロ入りした長谷部選手らチームメイトと村川さんが良い関係を築いていたことを再確認できた。
元スケート部の横山さんは大きなケガと闘い続けてきた。リコンディショニングセンターの特集にも出演している。
リモートでインタビューに答えた横山さんは「トレーニングとか基礎的なところを何度も毎日やって理解してということは、誰よりも頑張ったかなと自分で思います。ケガするたびに、たくさんの方に本当に支えられてたので、その恩返しをしたいなという気持ちが一番大きかったです」と話す。
元女子ソフトボール部の有吉さんは、引退後の今年1月からルーキーレーシングに出向。スーパー耐久とスーパーGTの担当マネージャーを務めている。森田キャスターがガレージを直接訪問し、その働きぶりを取材した。
ハツラツとした動きぶりを見せ、繊細な仕事も上司から高評価の有吉さん。それを支えているのが、スタッフルームにある巨大な「進捗管理ボード」。1年を通しての仕事のやり方や申請などの日程を、六埜さんやマネージャー統括の荒木さんがまとめた。
ボードの元となっているのが、トヨタ社内ではおなじみの「物と情報の流れ図」。モータースポーツ業界にTPS(トヨタ生産方式)を持ち込んだもので、六埜さんもトヨタのTPS部隊から学び、属人化しがちな業務を見える化していったという。モータースポーツ業界は全く初めてという有吉さんも、何から仕事をすれば良いのかが分かりやすくなった。
ガレージでは、スーパー耐久の車両がラッピングされている貴重な光景が見られた。ドライバー用の「ちょんまげ」と呼ばれる、フェイスガードに似たアイテムも登場。ちょんまげの正体が何かは、視聴者から「森田さん、GT開幕戦取材して、確認お願いします!」とコメントが寄せられており、今後の放送に期待したい。
ルーキーレーシングには元強化運動部のアスリートが4人いる。その1人で、ラグビー部からメカニックに転向した黒宮さんは「スポーツで培ったワンチームで乗り切って、一緒に頑張っていけたら」と、有吉さんにアドバイスしていた。
「ドライバーさん、メカニックさん、エンジニアさんがレースに集中できる環境を整えることが一番の仕事。今までは選手として管理してもらう側だったので、自分たちは支えてもらっていたと強く感じました」と語る有吉さん。ドライバーに必要なアイテムの管理など、重要な役割を任されている。
放送の前日にはスーパー耐久の公式テストがあり、有吉さんも初めてサーキットの現場を体験。配属されて1カ月余りとは思えないほど、きめ細やかな仕事ぶりが映像からも伝わってきた。
「今までスポーツでやってきたチームワークだったり、どんどん向上していくのを、この職場でも感じられています。自分自身も成長していけるように、マネージャーとしてサポートする力を蓄えていけるように頑張りたい」と有吉さんは話す。ピットを出ていくGR86を見守る眼差しは、アスリート時代と変わらず真剣そのものだった。
スタジオでは、森田キャスターが「前を向いて目を輝かせて、いろんなことを学びたいんだという気持ちが伝わってきた」と、取材した元アスリートたちの印象を語った。そして、東本部長の「トップ選手として培ってきたチームワークやマネジメント能力というのは、職場での活躍につながっている。選手の経験を職場の人材育成などにも活かしたい」という談話を紹介した。
六埜さんは、引退選手が身に付けた人間力やコミュニケーション力を伸ばし、セカンドキャリアで必要なスキルを身に付けていくことの大切さを説いた。現役選手に向けては、「セカンドキャリアというところでも安心してサポート頂いてると思いますので、ガンガン練習に打ち込んでいただければ」とエールを送っていた。
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