2025/03/07

とよたスポーツフェスティバルスペシャル(2月22日)


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『とよたスポーツフェスティバルスペシャル』が2月22日、愛知県豊田市のスカイホール豊田で行われた。多種多様なスポーツを体験できるイベントとして2回目の開催。豊田市わがまちアスリート、トヨタアスリートをはじめトップアスリートが一堂に会することから、今回より“スペシャル”と銘打たれた。

本イベントは、豊田市、トヨタ自動車株式会社などからなる豊田市スポーツイベント実行委員会によって企画され、「こどもをはじめとする多くの市民にスポーツに親しむ機会を提供する」を目的に掲げる。2回目の開催となった今回は昨年度に続き、3,500人を越える来場者が訪れ、ラグビー、野球・ソフトボールなど計13種のスポーツ体験を通じて体を動かした。

スポーツの振興・発展のために


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ストラックアウト、ティーバッティングに挑戦できるコーナーには、レッドクルーザーズ(硬式野球部)のOB・多木裕史さん、五十嵐寛人さん、穴井貴一さんが参加した。豪快なスイングを見せていた辻直翔さん(小学4年生・10歳)は体験を通じて、「楽しかったです。5年生から野球をやりたい」と、さっそく野球のとりこになった模様。それを受けて、五十嵐さんは「小さい頃からボールやバットに触れるという経験をし、それが野球をやるきっかけになって欲しい」と背中を押した。

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JDリーグ3連覇を狙うレッドテリアーズ(女子ソフトボール部)の片岡僚子さん、市川愛渚さん、島仲湊愛さんは、硬式野球部と入れ替わるように同じコーナーに登場。「ナイス!いいね!」と子どもたちに声をかけていた島仲さんは、ソフトボール人口の減少を危惧し、「こういった機会で、ソフトボールの楽しさを広めていきたい」と、本イベントへの参加の意義を語った。

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バスケットボールコーナーでは、元バスケットボール日本代表の栗原三佳さん、三好南穂さんとアンテロープス(女子バスケットボール部)のOG・金原彩姫さん、上鶴真由美さんが、子どもたちにフリースローやドリブル体験を通じて、競技の楽しさを伝えた。栗原さんは本イベントについて「スポーツ好きや将来を夢みる子を増やす種まき」と表現。「スポーツには人を笑顔にする力があります」とし、「スポーツ好き、バスケ好きを増やしていきたい。誰かにとってスポーツやバスケが、あってよかったという存在に繋げたい」と今後を見据えた。

スペシャルの醍醐味は参加した人にだけ


ラグビーコーナーでダイナミックなトライを決めていた日置悠仁さん(小学4年生・10歳)は、名古屋グランパスのホーム開幕戦の前に来場。元ラグビー日本代表の浅堀航平さん(元トヨタヴェルブリッツ)を間近に「筋肉がすごくムキムキだった」と目を輝かす。現在はサッカーをやっていると話し、将来は「誰かに頼られる人になりたいです」と力強く誓った。

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イベント応援として参加したという浅堀さんは、ラグビーをはじめたきっかけについて「幼少期から太っていたのでダイエット目的でした」と意外な理由を明かす。本イベントを通じて、「子どもたちの笑顔がたくさんだったと思いますし、お子さんの楽しむ姿を見て親御さんも笑顔になっていましたね」と来場者との交流を楽しんでいた。

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バレーボールコーナーに参加したという加藤愛望さん(小学3年生・9歳)は、「おばあちゃんに連れてきてもらいました」と隣の市から越境。元U-19ビーチバレー日本代表の山田紗也香さん(ビーチバレーボール部)とのトス、レシーブ交換からのスパイク体験では「びっくりした。初めて見て、すごいと思った」と目を丸め、「すごく楽しかった。また来たいです」と親子3世代の絆を深める機会となった。

その山田さんの隣で、会場いち汗を流していた進藤涼さん(元ビーチバレーボール部)は「とても疲れましたね」と、くたくたな様子でトス交換の練習を終えた。「多くの人たちにバレーボールの楽しさを広げたい。また、ビーチバレーボールに恩返しをしたい」。その意気込みを感じられる頑張り、背中は、子どもたちの目にも焼き付けることができたはずだ。

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イベント会場では、アスリートと来場者との交流が多く見られた。ファン・サポーターの写真撮影に応じた多木さんは「ファンの方々が楽しんでいる姿を見ると、こちら側も勇気をもらえますし、本当にいいイベントだなと思います」と自身も楽しんだ様子だった。

イベント開催に込められた思いとは


昨年度、2023年9月10日に初めて開催された、とよたスポーツフェスティバル。豊田市のスポーツ振興課の課長を務める中野洋介さんは「豊田市はすごく恵まれている。トヨタ自動車所属の選手をはじめ、トップアスリートがたくさんいて、今年度で言えばオリンピックも行われ、夢や元気をもらった。そういう人が身近にいるというのが特徴」とし、その特別感を来場者にも理解してもらうため、今回よりスペシャルとしたという。

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中野さんが考えるスポーツの意義は「生きること、そのもの」。本イベントに対して、「スポーツってすごく幅が広くて、体を動かすことからはじまると思うのですが、生活、生きることそのものみたいな、必要なことだと考えている。そこを楽しく豊かにやる。そういうことが、豊かな生活、生き生きとした暮らしに繋がる」と期待を寄せる。

さらに、「目標を持ってもらったり、スポーツの楽しさを見つけて、自身でもはじめてもらったり、そういったところに繋がるといいですね」と目尻を下げ、「今は様々な選択肢も増え、スポーツを選択しない子どもが増えている。そうじゃなくて、スポーツも楽しいよね、やりたいよね、というように思ってもらえるところに結びつけたい」と語気を強めた。

体だけでなく、心も育む


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本イベントでは、サッカーやバスケットボールなどの身近なスポーツのほかに、車いすバスケットボール、ボッチャ、障がい者サッカーなど、普段なかなか触れることのないスポーツ体験も用意された。かけっこ体験には、パラ陸上でパラリンピックに出場した経験を持つ、石田駆さん(トヨタ自動車)、芦田創さん(元トヨタ自動車)が参加し、快調なトークで子どもたちの関心を惹きつけた。

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“障害”について初めて知る子たちも多く、初めは驚きを隠せない様子だった。それでも、石田さんは「自分の役割だと感じている」とし、自身の経験や病気について、丁寧にわかりやすく説明。子どもたちの眼差しは徐々に真剣なものに変わっていった。

とにかく走ることが大好きだという石田さんは、大学入学直後の2018年に骨肉腫が発覚。当時について「病気そのものを理解することが追いつかなかった。19歳でこういう体になってしまったという絶望感を感じ、恐ろしいことばかりで不安でした」と振り返る。

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ただ、“駆ける”ことだけはやめたくなかった。「当時大学1年生だったので、インカレに出るという目標は諦めきれなかった。そのためにもリハビリをして、少しでも走れる体に戻していった」。そうした過程でパラ陸上と出会い、2021年には東京パラリンピックで5位入賞を果たした。

石田さんは今後、「パラ陸上だけでなく陸上競技全体がメジャーなスポーツに発展していけるように」と尽力するつもりだ。今回のようなイベントや陸上教室を通じて、走ることの楽しさやパラ陸上への理解を広げつつ、目指すは2028年のロサンゼルスパラリンピック出場。あの時のかけっこ教室の先生が、世界で輝くかもしれない。

世界がすぐそこに


2026年には、愛知県でアジア・アジアパラ競技大会が開催される。豊田市ではカヌー・カヤック/スラローム、サッカー、射撃、卓球の4競技が予定されている。スポーツ振興課の課長の中野さんは「スカイホール豊田のような大きな会場で大会が行われるときに、今日みたいな体験ブースを設けて誘客に繋げたい。スポーツの裾野を広げて、アスリートのPRや周知に繋げたい」と盛り上げ役を担うようだ。

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本イベントではトークショーも行われ、登壇した川合俊一さん(ビーチバレーボール部/エグゼクティブ・アドバイザー)は「アジアのオリンピック」とアジア・アジアパラ競技大会について言及。スカイホール豊田で開催される卓球については「ほぼ日本と中国ですからね。アジア大会とは言え、ここで行われる卓球はオリンピックの決勝みたいなもの。近くに住んでいる方は見に来たほうがいい」と来場を促していた。

とよたスポーツフェスティバルスペシャルは、5時間のスケジュールを終えて無事に閉幕。なお、『とよたスポーツフェスティバル』としては定期的に行われており、次回は夏頃の開催を予定しているという。今回来場してスポーツの魅力、トヨタアスリートのかっこよさを知った方は次回もぜひ参加し、新たな発見を楽しんでみてはいかがだろうか。今回来られなかった方は、ぜひ次の機会に行ってみることをおすすめしたい。

【参加したトヨタアスリート】

浅堀航平(ラグビー部OB)

椎村公彦(ラグビー部OB)

タウファ・オリヴェ(ラグビー部OB)

内田裕大(ラグビー部OB)

五十嵐寛人(硬式野球部OB)

多木裕史(硬式野球部OB)

穴井貴一(硬式野球部OB)

片岡僚子(女子ソフトボール部)

市川愛渚(女子ソフトボール部)

島仲湊愛(女子ソフトボール部)

石田駆(パラ陸上)

芦田創(元パラ陸上日本代表)

栗原三佳(元バスケットボール日本代表)

三好南穂(元バスケットボール日本代表)

金原彩姫(女子バスケットボール部OG)

上鶴真由美(女子バスケットボール部OG)

寺尾悟(元スケート日本代表)

山田紗也香(ビーチバレーボール部)

進藤涼(ビーチバレーボール部OB)

川合俊一(元バレーボール日本代表)

紀平梨花(フィギュアスケート)

竹中七海(元新体操日本代表)

順不同/敬称略

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