2025/05/28

「今日もパパがいる」をあたりまえに アスリートの育休制度がスタート


Image

5月23日のトヨタイムズスポーツは、現役アスリートの育休制度を特集した。

育児と競技を両立するためのトヨタの新しい社内制度が始まったのは、陸上長距離部の西山雄介選手からの相談がきっかけだった。1カ月の育休を終えた西山選手をゲストに迎え、当事者の想いと共に、担当者・後輩・チームメイト、いろいろな視点でこの“新しいあたりまえ”を深堀り。

家族思いの西山雄介選手が初の育休利用


メジャーリーグの大谷翔平選手が父親リストを利用して試合を欠場したことが話題になった今年4月、ある男子選手が1カ月の育休を取得したことが、英字新聞やスポーツ紙などで報道された。

トヨタに所属するアスリート専用の制度を活用した第1号となったのは、マラソンや駅伝で活躍する西山雄介選手だった。

Image

西山選手といえば、初マラソンとなる2022年の別府大分毎日マラソンで優勝し、その年のオレゴン世界陸上のマラソンでも日本人歴代トップのタイムで健闘。一方で、パリ大会代表の最後の1枠をかけた2024年の東京マラソンでは、前半に転倒に巻き込まれ、後半に追い上げて日本人最上位でゴールしたが、設定記録には届かなかった。ゴール後に人目をはばからず号泣した西山選手の姿は、多くの人の印象に残っている。

喜びも悔しさも味わってきた西山選手の精神的な支えは、妻と2人の子どもたち。トヨタイムズスポーツの動画でも、「娘が歩き始めて、階段を一生懸命上っている姿を見て、自分ももう少し頑張ってみようかなって気持ちになったり、一緒に成長していけたらという気持ちになった」と語っている。

競技に関しては寡黙でストイックなイメージの西山選手だが、スタジオで家族のことを話すときの笑顔には、家族愛があふれる。本人のSNSには、育休を終えて家族への感謝がつづられている。

Image

アスリート専用の育休制度が生まれた経緯


2022年に第1子が生まれたとき、競技と育児の両立が難しいと感じ、西山選手の中でモヤモヤがあったと言う。

昨年に第2子を授かった際に、子どもとの時間を大切にしたいと、上司や社内の関係者に相談した。西山選手は「ダメだったらダメでも、とりあえず動いてみるのが大事だと感じていたので。まずは相談することから始めました」と振り返る。

Image

相談を受けた側であるトヨタスポーツ推進部の近藤俊は「会社の中で強化運動部の活動は、離業という形で自主活動の位置付けになっています。自主活動の時間は練習参加しても試合に出ても問題ないんじゃないかと、人事部にも言っていただいたので。そこから調整も入って、制度としてまとまりました」と説明する。

「会社の中で男性の育休取得率が7割ほど。アスリートもけっして他人事ではなくて、いかに取れるかを人事部に考えていただきました。(西山選手から)我慢してどうせできないんだと終わらずに相談していただけたのは、非常に良かったです。(育休制度に)興味を持っている選手もいると聞きましたし、トヨタがスポーツ界の先駆けになっていけば、やった意義も非常にあると思います」

トヨタスポーツ推進部 近藤俊

トヨタスポーツ推進部 近藤俊

西山選手が育休を取ろうと思った経緯や会社の対応は11:44から。

全員活躍のための「例外づくり」


この話を聞いて森田京之介キャスターが指摘したのは、人事のトップである東崇徳 総務・人事本部長へのインタビュー記事で語られた「例外をつくろう」という豊田会長の言葉だ。

「トヨタってよく『全員活躍』が掲げられるじゃないですか。でも、仕事をする人たちのキャリアも家庭環境もそれぞれ違う多様な中で、全員が活躍するためには、なかなか一律のルールでは難しいだろうと。みんなが自分の力を発揮できる環境をつくるために、『例外づくり』みたいなところを意識していることが、この記事では語られているんですけれども。まさに今回西山さんが動いてできたトヨタアスリートの育休制度というのは、この『例外づくり』の1つ、 トヨタの社内でやろうとしていることに近いんじゃないかなと思いました」と森田京之介キャスターは話す。

マラソン選手が追いかけっこで完敗?


番組では、育休前と育休中の西村選手の24時間をグラフにして比較した。陸上長距離部の朝は早く、子どもが起きる前に家を出て、帰宅しても一緒にいる時間は限られている。

Image

制度では、日中の業務時間が育休となり、練習はその内容によっては自宅の周辺で好きな時間にやってよいことになっている。西山選手は子どもが起きる前や昼寝の時間帯に合わせて練習をすることで、競技のためのコンディションを維持したまま、育児と向き合うことができた。

育児の時間は増えたが「やっぱり大変だなっていうのをすごく感じました」と西山選手。 「1日中子どもと遊ぶのはすごくうれしいですけど、体力もなかなかいることだったり、子どももうまく寝なかったりもするので」と語る。追いかけっこが終わらず、体力的にキツくなって自分から負けを認めたそうだ。

育休中の生活について西山選手に聞いたのは22:36から。

一番身近なあの人から感謝のメッセージ


周囲の人たちは、西山選手の育休をどう思っているのか。3人の関係者のインタビューやコメントは28:46から。

Image

陸上長距離部の丸山竜也選手は、西山選手とは同期入社。「僕も昨年に子どもが生まれて、家族の支えがあって力を発揮できると個人的に感じています。育児休職の制度を使って練習と家族の両立を、いち早くトヨタの中で西山が取り入れたのは、素敵なこと。競技優先になりすぎて子どもの成長を間近で見られないのは寂しいところもあるので、2人目以降が生まれたタイミングで育休を取得する可能性は高いです」と語った。

パラ陸上の石田駆選手は、5月に結婚したばかり。「妻1人に子育てや家事を抱え込ませることになるのはよろしくない。前例を西山選手がつくってくれたことによって、陸上に限らずどのスポーツでも、アスリートが育休を取りやすい世の中になっていくんじゃないかなと思いました」と話す。

3人目はシークレットとして奥様から。「現役中に育休を取得することはとても勇気のいる決断だったと思いますが、あなたが勇気を持って踏み出してくれたおかげで、家族にとってかけがえのない幸せな時間を過ごすことができました。本当にありがとう」と、西山選手にメッセージが寄せられた。

Image

元アスリートからもエール「良いロールモデルになる!」


一番身近な人からのメッセージに、「やっぱりすごくうれしいですし、泣いちゃいそうですね」と西山選手。西山選手の勇気ある決断、それを相談できた環境、前向きに動いてくれた人事。

「今日もパパがいる!」そんな新しいあたりまえができたことで、みんなが幸せになれたのではないだろうか。生放送中のコメント欄でも、この春に出産した溝江明香さん(ビーチバレーボール)や産休中の三好南穂さん(バスケットボール)ら元アスリートが「良いロールモデルになりますね!」と、今回の新しい取り組みにエールをおくった。

育休を終えた西山選手がこれから競技で目指すのは、マラソンの日本記録の更新。「いろんな設定やプレッシャーがあった中でのレースが続いたので、今回そういうのをなくして、本当に記録だけを狙いに行く」と決意を語った。

そしてもう一つの夢が、子どもたちと一緒に表彰台に上がること。子どもとの体力勝負で鍛えられ、さらに強くなったパパの姿を見たい!

いよいよ富士24時間! スペシャルサイトもオープン


毎週金曜日11:50からYouTubeで生配信しているトヨタイムズスポーツ。次回(2025年5月30日)は、スーパー耐久の富士24時間レースの直前特集をお送りする。そして翌31日から始まるレースは現地から24時間生中継!

ST-Qクラスに参戦するTOYOTA GAZOO ROOKIE Racingのカーボンニュートラル燃料GR86、液体水素GRカローラを中心に、レースの模様をお届けする。

5/30(金)11時50分~ 超直前SP

5/31(土)14時〜 LIVE配信①

5/31(土)22時30分~URL切り替え LIVE配信②

6/1(日)7時30分~URL切り替え LIVE配信③

さらに、6月21・22日に行われるニュルブルクリンク24時間レースと富士24時間、2つの24時間耐久レースのスペシャルサイトを開設。「道がクルマを鍛える」を考えるコンテンツを今後も追加していく。

S耐富士24時間 ニュルブルクリンク24時間 スペシャルサイト

関連

陸上競技

,

陸上長距離部

,

トヨタアスリート

,

陸上

,

トヨタ