2025/07/11

日本勢が席巻!2025トヨタジュニアゴルフワールドカップ


団体・個人の2冠を達成した長﨑大星選手

団体・個人の2冠を達成した長﨑大星選手

大陸予選を勝ち抜いた世界14カ国の男女総勢63名の精鋭が集結し、国別対抗戦(団体戦)と個人戦のタイトルを争った「2025トヨタジュニアゴルフワールドカップ」。4日間の激闘の末、男子は日本、女子はタイが団体優勝を果たし、個人男子では長﨑大星選手(日本)、トーマス・レストレポ・ハラミージョ選手(コロンビア)がトップタイ、同女子は2年連続出場となる新地真美夏選手(日本)の1位フィニッシュで幕を閉じた。

同大会は、6月24日から27日にかけて愛知県・中京ゴルフ倶楽部 石野コースにて開催され、将来のゴルフ界を担う、18歳以下(大学生を除く)のトップジュニアたちが世界各国から集結。互いの技術を競い合いながら、競技外の様々なプログラムを通して国境を越えた交流がおこなわれた。

歴史ある“登竜門”であり続ける大会の意義


1992年に第1回大会が開かれた本大会は、今年で31回目を迎えた。世界6大陸、70を超える国と地域で予選を勝ち抜いたナショナルチームが出場する、ジュニアでは世界唯一の国別対抗世界選手権である。また、世界アマチュアゴルフランキング(WAGR)を定めるR&Aにおいても、ジュニア最高峰の大会のひとつに位置づけられている。

これまでに松山英樹(日本)、スコッティー・シェフラー(アメリカ)、ジョン・ラーム(スペイン)、ジャスティン・ローズ(イングランド)ら、のちにメジャータイトルを手にする数々の名選手を輩出。昨年開催されたパリオリンピック 男子ゴルフ競技の出場者の約4割、さらに過去5大会のマスターズ王者のうち4名がこの大会出身者。こうした背景から、世界のジュニアゴルファーにとって本大会は「世界への登竜門」として存在感を放っている。

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トヨタジュニアゴルフワールドカップは、週刊ゴルフダイジェストの人気漫画『オーイ!とんぼ』にも登場

トヨタジュニアゴルフワールドカップは、週刊ゴルフダイジェストの人気漫画『オーイ!とんぼ』にも登場

ウイリアム・カーダイク氏(左)

ウイリアム・カーダイク氏(左)

大会チェアマンを務めるウイリアム・カーダイク氏(アメリカ)は、開催意義について「この大会に出場するには、まず大陸予選を勝ち抜かなければなりません。選手たちは“国を背負う”というだけでなく、“大陸の誇り”を感じながら、その重圧の中でプレーすることになります」と述べ、国際大会としてのレベルの高さと、選手たちが得る経験の特別さを強調した。

さらに、「皆さんは、世界でも最も素晴らしい大会のひとつに参加していると言えるでしょう。この規模の大会を運営するのは並大抵のことではありません。トヨタ自動車をはじめとするスポンサーの皆様の支えがなければ、決して実現できなかったと心から感じています」と語り、大会を支えるスポンサーへの深い感謝を述べた。

パラアスリートが届けた“世界で戦う力”


大会開幕3日前の6月21日、選手たちは愛知県長久手市にあるトヨタ博物館を訪れ、日本のものづくりの精神に触れたのち、「トヨタアスリート座談会」に参加した。

パラ陸上・やり投(F46クラス)高橋峻也

パラ陸上・やり投(F46クラス)高橋峻也

高橋は普段競技で使っている槍を持参した

高橋は普段競技で使っている槍を持参した

この座談会は、世界で活躍するトップアスリートが多数所属するトヨタならではの大会支援プログラムだ。2023年大会から毎年実施されており、金銭的なサポートにとどまらず、トヨタアスリートが自身の経験をもとに競技力向上や人間的成長に繋がる学び、問題解決のヒントなどを対話の中で伝えてきた。

今回登壇したのは、パラ陸上・やり投の高橋峻也。右腕に障害を抱えながらも、小学2年で野球と出会い、夢中で白球を追い続けた。父との毎日5時間のキャッチボールで「グラブスイッチ」(左手で捕球後にグラブを瞬時に持ち替え、左手で返球する技術)も習得した。

「父と約束して、片腕で毎日500回以上バットを振っていました。父からもらった『健常者の10倍努力しろ』という言葉が、今でも自分の核になっています」

障害に悩んだ時期もあったが、父の言葉をきっかけに、それを“武器”として捉えるようになった。高校3年で夢だった甲子園出場を果たし、その実績を機にパラ陸上へ転向。2024年パリパラリンピックでは、やり投で6位入賞を果たした。

約40分にわたる座談会で語られた言葉の数々は、参加した若きゴルファーたちに、新たな学びと気づきをもたらした。

ノハ・ガディ選手

ノハ・ガディ選手

アーロン・ヴァン・アウウェ選手

アーロン・ヴァン・アウウェ選手

真剣な眼差しを向けていた、ノハ・ガディ選手(女子/モロッコ)は、「彼の特別な体験に関する話が聞けて、とても良かった」と感銘を受けた様子を見せた。 また、身を乗り出すように話を聞いていた、アーロン・ヴァン・アウウェ選手(男子/フランス)は、「彼が自分を信じて練習を続け、夢を叶えた姿に刺激を受けた」と語った。

この取り組みに対し、大会サブチェアマンを務める田頭英治氏も手応えを感じている。

「パラアスリートの話を直接聞くというのは、人生の中でも滅多にない経験です。今後もこうした貴重な機会を継続していただきたいですし、各国の監督やコーチにも、“トヨタジュニアは最高の経験ができる大会だ”とぜひ伝えていきたい」と語り、深い感謝を示した。

高橋の話に聴き入る選手、コーチ

高橋の話に聴き入る選手、コーチ

高橋の壮絶な経験に真剣な眼差しを向ける

高橋の壮絶な経験に真剣な眼差しを向ける

躍動の日本勢。その先に見据える未来とは


日本代表の活躍がひときわ目立った今大会。団体戦では男子が優勝、女子が準優勝といずれも表彰台に立ち、個人戦でも男女アベック優勝という快挙を達成した。

日本代表:長﨑煌心、松山茉生、長﨑大星、新地真美夏、岩永杏奈、長澤愛羅

日本代表:長﨑煌心、松山茉生、長﨑大星、新地真美夏、岩永杏奈、長澤愛羅

個人・団体の2冠を手にした長﨑大星選手は、4日間の戦いをこう振り返る。「良いプレーができましたし、個人と団体で優勝できたことも嬉しいです。チーム戦も楽しくて、一生の思い出になりました。ただ、ティーショットの飛距離やロングアイアンの精度では、外国選手にまだ差を感じました」と、結果に満足しながらも、課題を口にした。

昨年は個人2位に終わった新地真美夏選手は、見事雪辱を果たし頂点に立った。「去年のリベンジができて嬉しいです。でも、団体戦で勝ちきれなかったのは悔しい。日本で国際大会があるのは貴重ですし、チーム戦だったので試合以外の時間も楽しめました。去年より成長した実感はありますが、ショットも飛距離も“80点”ですかね。8月の全米女子アマでは優勝を狙いたいです」と、悔しさと希望を胸に、次なるステージへの意欲を語った。

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大会サブチェアマンの田頭氏も、日本ゴルフ界の発展について、次のように語る。

「技術的にはすでに世界と戦える力を持っている。しかし、結果を分けるのは“経験値”です。だからこそ、できるだけ若いうちから国際レベルの大会に挑戦することが非常に大切だと考えています」

さらに、「このトヨタジュニアのようなクオリティの高い大会に出場できることは、日本のジュニアにとってかけがえのないチャンス。今後の成長にとって、大きな財産になるはずです」と、これから厳しいプロの世界で羽ばたいていく選手たちの未来に期待を込めた。

参加選手たちの今後の活躍から目が離せない。

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「369yd」でドラコンを制したパク・ジェヒョン選手(韓国/男子)

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惜しくも優勝は逃したが「366yd」で2位と意地を見せた松山茉生選手

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ドラコン優勝 男子:パク・ジェヒョン選手(369yd/韓国)/ 女子:ニッキー・オー選手(286yd/アメリカ)

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大会期間中にはFCグランエース(水素燃料電池車)が”地球にやさしい移動オフィス”として活躍

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運営事務局の快適なオフィス作業を可能にした

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