2025/07/16

サッカーも子育ても正解はない。遠藤航が探し続ける「最適解」


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7月11日のトヨタイムズスポーツは、レクサスアスリートに新しく加わったサッカーの遠藤航選手を特集した。

今年は世界最高峰の舞台でリーグ優勝を経験し、キャプテンとしても1年後のワールドカップへの期待が高まる遠藤選手に、約30分の単独インタビュー。これまで進んできた道やこれからの道、世界で戦う中で到達した「最適解」を探すというモットー、キャプテンとしての意識などをじっくり聞いた。その内容は、スポーツだけでなく、日常生活やビジネスでも活かせるヒントが満載!

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「W杯に向けて最大限できる準備を」


現在32歳の遠藤選手は、日本からベルギーのリーグを経て、ドイツでは1対1のバトル勝利数1位のタイトル「デュエル王」を2年連続で獲得した。2023年に世界最高峰の一つであるイングランドのプレミアリーグに移籍し、今年はシーズン優勝を成し遂げた。ワールドカップにはロシアとカタールの2大会に出場。4児の父親という顔も持っている。

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森田京之介キャスターが「トヨタにようこそ」と出迎えると、「僕もレクサスファミリーに入ることができて光栄です」と笑顔で答えた遠藤選手。所属クラブでのリーグ優勝や、来年のワールドカップへの想いを語った。

インタビューの模様は09:30から。

遠藤「プレミアリーグでプレーして優勝を実現できたことは非常にうれしく思いますし、素晴らしい経験ができたシーズンになったなと。もっと感動するのかなと思ったのですけど、意外と落ち着いていたというか。リヴァプールの一員としてタイトルを獲ることは、当たり前に目指していかなければいけない立場にありますし、リーグ優勝できる自信もあったので、すごく実感はしたけど驚きもないという感覚ですね。

(ワールドカップへは)もう1年ですけど、まだ1年準備期間があるという考え方もできるので。チームとしてもそうですし、個人個人がどうワールドカップに向けていい準備ができるかはすごく大事。少ない活動期間の中で最大限できる準備をしていきたいという思いです」

正解ではなく「最適解」をアップデートしていく


インタビューは、トヨタのグループビジョン「次の道を発明しよう」になぞらえて、遠藤選手がこれまで歩んできた道、現在歩いている道、これから進んでいく道をそれぞれ掘り下げた。これまでの道や考え方を記した遠藤選手の著書『DUEL』で、森田キャスターが気になったキーワードは「最適解」、驚いたのは子育ての話から始まったことだった。

遠藤「意外と共通してないようなことでも、共通していたり、同じ考え方で表現できたり。それは子育てとサッカーとか、他のこともそうなのかなと考えるのが僕は好きで。子育てもサッカーも正解はない。だから、今自分の置かれている一番素晴らしい解決方法というか、そういう最適解探しは常にしている感じですよね。(過去には)『この道しかないだろう』みたいな考え方をしていた自分はいたと思うんです。でも、僕にとって正解と思うことが、他の人にとっては正解ではないのではないかとか、いろいろなことを考えるようになって。正解じゃなくて今の最適解がそれぞれにあって、アップデートしていく。そういった考え方を持つのは、人生において大事なんじゃないかなと思っています」

遠藤選手のトレードマークになったマウスピース。これも、歯を食いしばるためという今までの常識的な考え方ではなく、歯を食いしばらずに身体をリラックスさせる目的が大きいそうだ。

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リーダーの言葉の意義、クルマづくりとの共通点


チームとして最適解を考えるために、遠藤選手が大事にしているのは、選手同士が自律的に意見を出し合うこと。その中でキャプテンとしてどうチームを導いていくかという考え方には、トヨタの目指す「もっといいクルマづくり」と共通する点も見られた。

遠藤「チームがうまくいかないときって、言いたいことを言える関係性になかったりする。もちろん意見が合わないこともあると思いますけど、しっかりディスカッションすることが大事。そこは海外に行って変わった部分であるし、今は海外組が多いので、意見を言う選手たちばかりというか。逆にそれをまとめるのが大変ですけど、チームを成長させるうえで欠かせないものになっていると思います。

普段キャプテンとして仕事が多いかというと、他の選手たちとやっていることはそんなに変わらない。けど、選手やファンに刺さる言葉やコメントを言わなきゃいけないタイミングって、絶対来ると思っているんですよね。僕もキャプテンに就任したタイミングで、『ワールドカップ優勝を目指したい』という話をして。要は、同じ方向を向かせるための道しるべを作るコメントみたいな。そういうタイミングはすごく自分の中でも意識しています。

豊田会長の一言(もっといいクルマをつくろう)だけで、社員全員がいろいろ考えて、同じ方向に向かっていくのには、すごく共感するところもありますし、リスペクトしています」

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選択肢を増やすメリット


最適解を探すアプローチによって得られる、次に起こす行動のオプション(選択肢)が増えることの意義とは? 遠藤選手の思考のより深い部分へと迫った。

「(選択肢を増やすことで)感情のコントロールがうまくできると思います。自分はこういう戦術をしたいけど、監督や他の選手がこう言っているとか。そこで自分にこだわりすぎると、『俺は本当はこうしたいのに』とパフォーマンスが下がったりするのもあると思うので。でも、『こういう意見もあるよね』と都度考えることによって、イライラ感はなくなりますよね。フラットで常にいられるというか、そこが結構最適解を探すうえで、いろいろなオプションを持つメリットかなと思っています。

サッカーにおいては、引き出しがいろいろあった方が、こういう時はこのオプションと使い分けられるので、そこは強みとして捉えています。目まぐるしく状況が変わる中で、瞬時に判断していかなきゃいけない。いろいろな考え方を持てる選手が本当に強いと思うし、これだけやっていればいいというのは絶対ない。その都度いろいろなオプションを持ちながら、プレーの中でも最適な選択をできるようにという感じですね。

(子育ても)家族によって最適解が違うと思いますし、やり方はいろいろある。そこは少しずつアップデートしていくのが大事で、失敗やいろいろなことはあると思いますけど、『それってどうしてこうなったんだろう』と考えるのが僕は好きです。そういうふうにアップデートしていくのが、最適解探しでは重要で面白いところかなと思います」

レクサスの車内で「最適解」を考える時間


ラグビーの姫野和樹選手ら、トヨタを代表するアスリートから寄せられた質問に遠藤選手が答える時間帯(29:15~)も設けられた。レクサスアスリートの先輩であるエアレースの室屋義秀選手からは、ドイツやイギリスでのクルマの運転について。

遠藤「実現できなかったのですけど、ドイツでLCに乗ってアウトバーンを飛ばしていくのって、めちゃめちゃいいなと思いました。イギリスは街の中が狭くて、(コンパクトなクルマの方が)運転しやすいかもしれないですね。基本的には音楽を聴いて、一人で歌いながら運転しています。それこそ運転の時間は、最適解やいろいろな考え方を考える時間でもあったりします」

遠藤選手とレクサスの関係は深く、プロになって初めて購入したクルマがRXだった。LCは購入を検討していたが、海外挑戦とタイミングが重なったため断念したという。子どもが増えてからはLXに乗り換え、納車日に撮影されたという写真の遠藤選手は満面の笑みを見せていた。

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世界に羽ばたく子どもの支援プロジェクトが始動


最後に遠藤選手に聞いたのは、次にイメージしている未来の道について。タイトル獲得やW杯優勝の先に思い描いているのは、父子で現役選手として活躍することだという。「僕が38歳までやれば18歳でデビューする可能性があるので、親子同じ道をサッカー選手として歩んでいけるのであれば素晴らしいと思います」と語る。

そして、6月に遠藤選手が始めたのが、海外に留学する日本の子どもたちを支援する「SEKAI NI WATARU プロジェクト」。サッカーに限定せず、一芸を持つ子どもが世界に“わたる”ためのサポートを行う。

遠藤「他の国の文化や、選手との対戦によって、いろいろな経験をしてほしいなと思っているので。世界に出て行けるチャンスがあれば、ぜひ掴み取ってほしい。何が何でも世界に出て行けとは言わないですけど、こういう世界もあるんだと知ることで、見え方が変わり、いろいろな考え方やオプションが持てるようになる。考え方は人それぞれ違うし、正解は一つじゃない。最適解探しが大事なのは子どももそうだし、子どもとしていろいろなアプローチの仕方をしてみて、いろいろな成果を知ってほしいと思っています」

ラグビー姫野主将とのキャプテン対談が実現間近!?


インタビューVTRの終了後、キャプテンの経験が豊富な2人の現役トヨタアスリートに、電話をかけて感想を聞いた。生電話での出演は41:53から。

硬式野球部レッドクルーザーズの副キャプテンである福井章吾選手は、高校・大学でも名門校でキャプテンを務めてきた。遠藤選手の言葉に対して、「スポーツ以外の部分にも目を向けているところが、僕自身すごく共感できるところもあって、いろいろと刺さる部分がありました」と語る。

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新たな気づきとなったのが、遠藤選手のキャプテン像だ。「キャプテンは誰よりも頑張らなきゃいけないって思ってやってきましたので、ここ一番でチームの道しるべを示す存在になればいいという言葉は、すごく学びがありました」と福井選手。すでに遠藤選手の著書を購入済みで「僕自身のキャリアを重ねていくうえで、それが最適解」と、さすがのコメント力を見せつけた。

ラグビー部ヴェルブリッツのキャプテンである姫野和樹選手は、代表チームでもキャプテンを務めてきた。遠藤選手が語ったキャプテンの姿に対して、「自分が全部正しいとは思わないし、自分のリーダーシップの正解はない。いろいろな考え方を取り入れながら、自分の考えをアップデートできればいいなと思っています」と共感していた。

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インタビューでは、チームが苦しいときのマインドセットについて質問していた姫野選手。「いろいろな引き出しを持っている方なので、もっといろいろ聞けたら。サッカーで培った経験値と、ラグビーで培ったものも違うと思うので、その違う観点の考え方を知りたい」と、遠藤選手との対談を熱望している。

遠藤選手も対談を望んでおり、番組スタッフは実現に向けてノリノリだ。両選手の対談だけでなく、同様にレクサスアスリートに加わったサーフィンの五十嵐カノア選手へのインタビューなども計画中。アスリートたちの横のつながりや絆が、さらに広がっていきそうだ。

毎週金曜日11:50からYouTubeで生配信しているトヨタイムズスポーツ。次回(2025年7月18日)は、プロフィギュアスケーターの宇野昌磨さんが生出演する。初めて企画・プロデュースしたアイスショー「Ice Brave」の舞台裏に迫るほか、公演を終えた本人からどんなコメントが聞けるかも楽しみだ。ぜひ、お見逃しなく!

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